バイオマス炭素中立理論の終焉
本稿では、バイオマス炭素中立理論の終焉について、XのオマケAIであるGrokに尋ねてみたその内容を掲載してみよう。
AIは上手に使えば非常に有用である。
手抜き記事と言われればそれまでであるが、筆者自身の論考よりはまともな回答が出てくるので、これも有用な活用法だとは思う。
但し使用者の質問意図が的確でないと、意図しない或いは無関係な回答が返されることがあることは念頭に置く必要がある。
筆者からGrokへの質問
木材燃焼が炭素中立だとされる、欧米諸国で考案された理論は、気候変動問題に関連し発電用に化石燃料の代替とした場合にGreenとみなす理論だったはずですが、その理解で正しいですか?
また、木材Biomassは最近、欧州ではGreenEnergyから除外された理由を説明して下さい。
Grokによる解説
ご質問ありがとうございます。木材燃焼が炭素中立だとされる理論と、最近欧州で木材バイオマスがグリーンエネルギーから除外された理由について、順にお答えします。
1. 木材燃焼が炭素中立だとされる理論について
あなたの理解は基本的に正しいです。木材燃焼が炭素中立(カーボンニュートラル)とみなされる理論は、主に欧米で発展し、気候変動対策の一環として化石燃料の代替として推進されてきました。
この理論の根拠は以下の通りです:
・炭素循環の前提:
木材(バイオマス)が成長する過程で大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収し、その量が燃焼時に排出されるCO2とほぼ等しいと仮定されます。つまり、木材を燃やしても「新たな」CO2が大気中に追加されない(ネットゼロ)とされ、化石燃料のように地中から新しい炭素を放出するわけではないため、「グリーン」とみなされるのです。
・再生可能性:
木材は再生可能な資源であり、適切に管理された森林であれば、伐採後に植林を行うことで炭素吸収が継続し、長期的には中立性が保たれるとされてきました。
・気候変動対策としての位置づけ::
化石燃料(石炭や石油など)に比べて即時的なCO2削減が可能な代替エネルギーとして、特に発電や暖房用途でバイオマスが推進され、欧米では再生可能エネルギー政策に組み込まれてきました。
この理論は、2000年代初頭からEUの再生可能エネルギー指令(Renewable Energy Directive, RED)などで採用され、バイオマスが「グリーンエネルギー」の重要な柱と位置づけられました。しかし、この理論には前提条件(持続可能な森林管理や植林の実施)が不可欠であり、それが現実的に守られない場合に問題が生じることが後に指摘されるようになりました。
2. 欧州で木材バイオマスがグリーンエネルギーから除外された理由
近年、欧州で木材バイオマスがグリーンエネルギーとしての分類から除外される動きが進んだ背景には、科学的・環境的懸念と政策の見直しがあります。
主な理由は以下の通りです:
・炭素中立性の現実的な限界:
理論上は炭素中立でも、実際には木材燃焼によるCO2排出が即時に発生する一方、植林による炭素吸収には数十年から百年単位の時間が必要であることが問題視されました。このタイムラグにより、短期的な気候変動対策(特に2030年や2050年の目標)には逆効果となる可能性が指摘されています。
・森林破壊と生態系への影響::
バイオマス需要の増加により、持続可能な管理を超えた過剰な伐採が進み、原生林や生物多様性の豊かな森林が失われるケースが報告されました。例えば、東欧や北米からEUに輸入される木材チップが、保護林の伐採に繋がっていることが明らかになり、環境団体や科学者から批判が強まりました。
・科学的再評価:
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や欧州の研究者たちが、バイオマスの炭素中立性を再評価し、「燃焼時の排出が即座にオフセットされない」点を強調。2018年には784人の科学者がEU議会に書簡を送り、バイオマスを再生可能エネルギーに含める政策を見直すよう訴えました。
・政策転換:
EUは2050年までの気候中立目標(欧州グリーンディール)を掲げており、より厳格な基準が求められるようになりました。2021年の再生可能エネルギー指令改定(RED II)やその後の議論で、特に「一次林(原生林)」や「大規模な木材燃焼」がグリーンエネルギーの対象外となる方向性が示されました。また、2023年以降、EUの持続可能性基準が強化され、バイオマス発電の補助金削減や規制が進められています。
・代替エネルギーの進展:
太陽光や風力といった、より排出の少ない再生可能エネルギーの技術が進歩し、コストが低下したことで、相対的に木材バイオマスの優先度が下がったことも背景にあります。
結論
木材燃焼が炭素中立とされる理論は、確かに化石燃料代替としてグリーンとみなすためのものでしたが、その前提が現実と乖離していることが明らかになりつつあります。欧州での除外理由は、科学的根拠の再評価、環境への悪影響、そしてより効果的な気候変動対策へのシフトによるものです。この動きは、北欧などバイオマス依存度の高い地域に影響を与える一方、グローバルな脱炭素戦略の転換点とも言えるでしょう。
何かさらに詳しく知りたい点があれば、お気軽にお知らせください!
編集部より:この記事は青山翠氏のブログ「湘南に、きれいな青空を返して!」2025年3月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「湘南に、きれいな青空を返して!」をご覧ください。