宮原、涙の王道T制覇を亡き長尾一大心さんに捧ぐ「一大心が誇った、このリングをさらにキラキラしたものにしていく」(プロレスTODAY)

全日本プロレスは9月14日、聖地・後楽園ホールにて「第12回 王道トーナメント」準決勝・優勝決定戦を開催した。 【動画】優勝した宮原が長尾さんへ向け魂の叫びで大会を締める 大会は、先日急逝した所属選手・長尾一大心さんを偲ぶ献花台が設置されるなど、深い悲しみに包まれる中で開催。 そのメインイベントで、宮原健斗が3年ぶり3度目の優勝を果たし、その栄光を天国の長尾さんへ、涙ながらに捧げた。 この日の後楽園ホールは、異様な空気に包まれていた。リング上の激闘と、故人を偲ぶ静寂。その中で、全日本の選手たちは、それぞれの胸に長尾さんへの想いを秘めて戦った。 準決勝では、宮原が関本大介を一瞬の丸め込みで下し、本田竜輝は昨年の覇者・綾部蓮へのリベンジを果たして、3年連続となる決勝の舞台へ。そして迎えた優勝決定戦。宮原と本田、両者の戦いは、単なるトーナメントの決勝戦ではなかった。 ゴングが鳴ると、本田は「長尾に届けるぞ!」と絶叫。その言葉に応えるかのように、両者は序盤から激しい肉弾戦を展開。 場外戦、エプロンでの危険な攻防、そしてリング上での壮絶な打撃戦。それは、悲しみを乗り越え、前に進もうとするレスラーたちの、魂の叫びそのものであった。 20分を超える死闘の末、最後は宮原が渾身のシャットダウン・スープレックス・ホールドを完璧に決め、3カウントを奪取。秋の最強の称号を手にした。 しかし、その表情に、いつものような満面の笑みはなかった。マイクを握った宮原は、何度も涙で言葉を詰まらせながら、天国の盟友へ、そして満員のファンへ、その想いを語った。 「一大心のことがあり、僕ら全日本プロレスのレスラーは、みんな一大心の気持ちをそれぞれのレスラーが今持っていると思います。一大心は北海道釧路から、このプロレスのリングに夢を見て上京して……。ただ、一大心はこの全日本プロレスのプロレスラーであることに誇りを持っていました。だから僕たち全日本プロレスは、一大心が誇った、この全日本プロレスのリングをさらにキラキラしたものにしていくんだという気持ちで前を向いていきます」 そして、こう続けた。 「プロレスファンのみなさんにひとつお願いが。プロレスラー・長尾一大心のことを胸の中に思い出して、日々を過ごしていただければうれしいです。僕たち全日本プロレスのレスラー、写真、スタッフは、一大心を一員だと思っているので、これからも一大心の気持ちを一緒に、また明日から一緒に前に進んでいこうと思います。やっぱり一大心にとってカッコいい先輩でいなきゃダメだと思うから」 その言葉は、団体のエースとして、そして一人の先輩としての、あまりにも誠実な誓いであった。 さらに、宮原は三冠ヘビー級王者の斉藤ジュンをリングに呼び込むと、「9月23日、東京・立川、秋のビッグマッチ、覇者vsチャンピオン、オレたちの全日本プロレス見せようじゃねぇか」と、長尾さんへの想いを背負っての王座挑戦を表明した。 最後は、宮原の「全日本プロレス、そして長尾一大心、最高ですか?」という問いかけに、観客が「最高!」と応え、会場は温かい「一大心」コールに包まれた。 バックステージで、準優勝に終わった本田もまた、その胸の内を明かした。「全日本プロレスのみんなは家族なんで、長尾一大心の先輩として恥じぬように、これからも全日本プロレスで生きていきます」 一人の若きレスラーの死という、あまりにも大きな悲しみを乗り越え、全日本プロレスは、その誇りと絆を胸に、これからも前へ進んでいく。宮原が掴んだ王道トーナメントの優勝カップは、その決意の証として、後楽園の夜に、ひときわ強く輝いていた。 <写真提供:全日本プロレス>

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