全国コアCPI、6月は+3.3%に鈍化 ガソリンがマイナス転換

 総務省が18日に発表した6月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数、コアCPI)は、前年比3.3%上昇した。写真は千葉のスーパーマーケットで2020年5月撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 18日 ロイター] - 総務省が18日に発表した6月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数、コアCPI)は、前年比3.3%上昇と、伸び率は前月の3.7%から縮小した。政府の定額補助でガソリン価格が下落に転じるなど、エネルギー価格の伸びが鈍化したことが要因。ただ、食料品は上昇率の拡大が続き、コアCPIの伸び率は7カ月連続で3%台となった。

コアCPIの伸び率は事前予想の3.3%に一致した。

エネルギー価格は2.9%上昇し、前月の8.1%上昇を下回った。ガソリン価格が1.8%下落と、前月の4.8%上昇からマイナスに転じた。電気代は5.5%上昇、都市ガス代は2.8%上昇でいずれも前月から伸びが縮小した。昨年6月には政府の電気・ガス価格激変緩和対策が縮小されたことで伸び率が高まったが、その反動が出た。

一方、生鮮を除く食料は8.2%上昇し、前月の7.7%上昇を上回った。11カ月連続で伸び率が拡大した。値上げでチョコレートが39.2%上昇となったほか、コーヒー豆は40.2%上昇した。コメ類は100.2%上昇。伸び率は1971年1月以降で最大となった前月(101.7%)を下回った。伸び率が前月を下回るのは2023年7月以来。

通信料(携帯電話)は11.9%上昇で前月の3.0%上昇を上回った。携帯大手の新料金プランが影響した。

コア対象522品目のうち、上昇が417、下落が69、変わらずが36。上昇品目は前月の421を下回った。

6月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は3.4%上昇。携帯通信料の影響で前月の3.3%上昇から小幅に加速した。引き続き24年1月以来の高い伸び率。総合指数は3.3%上昇、伸び率は前月の3.5%から鈍化した。

<迫る参院選、消費減税ならインフレ圧力との声>

参院選の投開票が20日に迫る中、各報道機関の情勢調査では与党の苦戦が報じられている。野党各党は消費税を巡って、食料品の税率引き下げ、一律引き下げ、廃止などを主張しており、債券市場では先行きの財政悪化を懸念して超長期債を中心に売り圧力が掛かっている。

みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介チーフ日本経済エコノミストは「マクロ経済全体として供給制約が強まっている中、消費税減税で需要が刺激されれば、それによってインフレ圧力が生じ、減税による制度要因としてのCPI押し下げ効果とは別に基調的なインフレ圧力が助長されかねない」と指摘する。

野党の中には消費税減税を「時限的」に実施するとの主張もあるが、酒井氏は実際に消費税減税を実施すれば、エネルギー補助金が延長を繰り返しているように「政治的に消費税減税も事実上恒久化してしまう懸念もある」と指摘。事実上の恒久化を市場に見透かされた場合は「財政リスクを意識した円安(日本売り)という形でインフレが国民生活に跳ね返ってくるリスクも否定できない」と警戒する。

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