トランプ氏のガザ和平案、ネタニヤフ氏が支持 ハマスの受け入れ不透明
[ワシントン/カイロ/エルサレム 29日 ロイター] - トランプ米大統領は29日、イスラエルのネタニヤフ首相とホワイトハウスで会談した。会談後の共同記者会見で、パレスチナ自治区ガザで続く戦闘の終結を目指す米国主導の和平案をネタニヤフ氏が支持することで合意したと述べた。
イスラム組織ハマスが和平案を受け入れるかは不透明。
トランプ氏は、合意にはアラブ諸国も関与するとし、中東の広範な和平の達成につながると言及。イスラエルを含む関係各国がガザでの戦闘終結に向けた合意に「極めて近い」とし、前面に立って取り組んでいるネタニヤフ氏に感謝すると語った。
ただ、ハマスが提案を拒否した場合、イスラエルが必要とみなすあらゆる行動を米国が全面的に支持するとも警告した。
ネタニヤフ氏が断固として拒否している将来のパレスチナ国家樹立の可能性や、戦後のガザ統治でのパレスチナ自治政府の役割など、トランプ政権とイスラエルが全ての意見の相違を解決したのかは、直ちには明らかにならなかった。
トランプ氏は会見で質問を受け付けなかった。
ネタニヤフ氏は共同記者会見で、ガザでの戦闘終結に向けたトランプ氏の和平案を支持すると表明。「ガザの戦争を終わらせるトランプ氏の計画を支持する。これはわれわれの戦争目標を達成するものだ。イスラエルの全ての人質を取り戻し、ハマスの軍事能力を解体すると同時にハマスの政治支配を終わらせ、ガザ地区が二度とイスラエルの脅威にならないことを確実にするものだ」と述べた。
米ホワイトハウスはこの日、停戦と人質・受刑者の交換のほか、イスラエル軍のガザからの段階的撤収、ハマスの武装解除、国際機関が主導する暫定政府の樹立を柱とする20項目のガザ和平案を公表。具体的には、イスラエルが合意を受け入れてから72時間以内に全ての人質を帰還させる。これには死亡した人質の遺体も含まれる。イスラエル軍は人質の解放準備のため、合意されたライン(位置)まで撤収。その後、全ての人質の解放が完了した段階で、イスラエルは終身刑を受けているパレスチナ人250人のほか、2023年10月7日のハマスによるイスラエル奇襲以降に拘束されたガザ地区の住民1700人を解放する。
トランプ米大統領は29日、ホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と会談した。同日撮影(2025年 ロイター/Jonathan Ernst)
ハマス幹部のマフムード・マルダウィ氏はトランプ氏とネタニヤフ氏の共同記者会見後にアルジャジーラのインタビューに応じ、トランプ大統領のガザ和平案をハマスはまだ受け取っていないと述べた。
当局者によると、カタールの首相とエジプトの情報局長は、トランプ氏の20項目からなるガザ計画をハマスと共有した。ハマスの交渉担当者は、この計画を「誠意をもって」検討し、回答すると仲介者に伝えたという。
今回の和平案では、ガザの再開発が順調に進み、パレスチナ自治政府が改革を実施した後のパレスチナ国家樹立について、曖昧な道筋しか示していない。
関係筋によると、将来的なパレスチナ国家樹立については、ネタニヤフ氏が絶対に実現させないと主張しており、ネタニヤフ氏がトランプ氏の和平案を受け入れる上で大きな障害となっていた。
和平案には、米国がアラブ諸国などと協力し、治安を監督する一時的な安定化部隊を編成することが盛り込まれている。ハマスはガザの統治には関与せず、当初はパレスチナ自治政府の「代表者」による関与も限定的なものになる。ネタニヤフ氏はパレスチナ自治政府がガザを支配してはならないと主張している。
和平案では、ガザの日常的なサービスを一時的に担当するパレスチナ専門家委員会の設立を提唱。この委員会を監督する「平和理事会」は、トランプ氏が議長を務め、トニー・ブレア元英首相も参加する。
サウジアラビア、ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、エジプトなどアラブ・イスラム諸国の外相は、トランプ氏によるガザ戦争終結に向けた発表を歓迎するとの共同声明を出した。この合意を最終化し、実施を確実にするため、米国など関係当事者と積極的に協力する用意があるとしている。
WAFA通信によると、パレスチナ自治政府は29日、トランプ氏の取り組みを歓迎し、包括的な合意に達するため、米国やパートナーと協力するコミットメントを再確認した。
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