エヌビディア時価総額、史上初の5兆ドル突破-AIブーム追い風

米半導体大手エヌビディアが29日、世界で初めて時価総額5兆ドル(約760兆円)を突破した。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)による一連の提携拡大が、人工知能(AI)ブームをさらに加速させている。

  エヌビディアの株価は3.1%高の207.16ドルで取引を終え、時価総額の新たな節目に到達した。約4カ月前に4兆ドルを超えたばかりだった。フアン氏は、ノキアやサムスン電子、現代自動車グループなどと、次々に供給合意を結んでいる。

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エヌビディアが世界で初めて時価総額5兆ドルを突破した

  世界経済を変革するとの期待が支えるAI主導の強気相場の中で、エヌビディアの存在感は群を抜いている。今年の株価上昇率は29日終値時点で54%に達し、S&P500種株価指数の年初来上昇率17%のうち、およそ5分の1を同社1社で押し上げている。時価総額で続くのはマイクロソフトアップルで、いずれも約4兆ドル規模だ。

   トゥルイスト・アドバイザリー・サービシズの最高投資責任者兼チーフマーケットストラテジスト、キース・ラーナー氏は「時価総額5兆ドルなど、数年前なら想像もできなかった」と述べ、「市場はAIが変革をもたらすという考えに大きな期待を織り込んでいる」と述べた。

   エヌビディア株上昇の手掛かりとなったのは、トランプ米大統領が中国の習近平国家主席との会談で、エヌビディア製の画像処理半導体(GPU)「ブラックウェル」を巡り協議する見込みだと述べたことだった。

  フアンCEOも、一連の新たな提携を発表し、AI市場のバブル懸念を一蹴。同社が最新チップで5000億ドルの売り上げを生み出す軌道にあるとも述べた。エヌビディアはまた、量子コンピューターと自社のAI半導体を接続する新システムを発表した。

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  こうした株価上昇により、S&P500種に占めるエヌビディアのウエートは約9%に達し、2番手の企業におよそ2ポイントの差をつけた。ブルームバーグがまとめたデータによれば、時価総額は今やオランダ、スペイン、アラブ首長国連邦(UAE)、イタリア、ポーランドの株式市場を全て合わせた規模をも上回る。

  言い換えれば、同社は米国、中国、日本、香港、インドを除く世界のすべての株式市場よりも大きな規模にまで成長した。インド市場を抜くまで約2500億ドル差に迫っている。

  ウォール街では、同社の将来性に強気な見方が圧倒的だ。ブルームバーグが集計する同社担当アナリスト80人のうち、90%超が「買い」に相当する投資判断を付けている。シーポート・グローバル・セキュリティーズのジェイ・ゴールドバーグ氏のみが「売り」推奨としている。

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原題:Nvidia Becomes First $5 Trillion Firm as AI Rally Picks Up Steam(抜粋)

— 取材協力 Lynn Thomasson and Farah Elbahrawy

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