富田隆弥の【CHART CLUB】 スピード調整、押し目狙い
株式評論家 富田隆弥
◆5月12日の東京市場の引け後に、米国と中国が相互に課している追加関税の引き下げで合意したと伝わり、同日の米国市場でNYダウは2.8%高、ナスダックが4.3%高と急伸を演じた。為替市場でも1ドル=148円65銭までドル高・円安が加速した。これを受けて、13日の日経平均株価は539円高と窓を空けて上昇し、3万8494円の高値を付けた。
◆勢いよく上げた株式市場だが、チャート的にはそこで「ピーク」を打つ可能性が高まる。日経平均株価は4月7日安値の3万0792円から1ヵ月余りで25%上昇し、サイコロジカルラインや騰落レシオ、順位相関指数(RCI)など多くのテクニカル指標に過熱信号が灯っている。そこに米中両国の関税協議進展が伝わり、買いを強めたことで「達成感」が一段と強まった。 ◆ならば、その後の調整はセオリー通りといえる。1~2週間の調整は覚悟すべきだが、裁定買い残など需給が改善している日本株だけに、「ピーク」後の下げは深まらずに「3万7000円前後」を目安としたスピード調整で済むことも想定される。 ◆4月7日安値からの上げ幅は約7700円。その3分の1押しはおよそ3万6000円となる。3月のSQ値(先物の最終清算値)が3万6483円。右肩上がりで推移する25日移動平均線は15日時点で3万5456円と間もなく3万6000円に近づく。 ◆12日に148円台まで円安に振れたドル・円相場。15日夜時点で145円60銭と円高に戻しているが、トランプ関税懸念による一時の「ドル独歩安」にも収束の気配がうかがえる。IMM通貨先物には高水準の「円買い」ポジションがあり、その巻き戻し(円売り)が始まると150円台を目指す展開も想定され、そうなれば日本株には追い風となる。これらを踏まえると、ここからの日本株に対しては「押し目狙い」が一策となろう。 (5月15日 記、毎週土曜日に更新)情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
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