「石破降ろし」ムード後退、ポスト石破8人は…GW活用し議員外交・関税交渉で存在感アピール
昨年9月の自民党総裁選で石破首相(党総裁)に敗れた「ポスト石破」候補8人が大型連休を生かし、精力的に活動している。トランプ米政権による関税措置という国難に直面して「石破降ろし」の機運がしぼみ、当面は支持固めや実績作りに傾注して次の局面に備える構えだ。(三沢大樹、台北 園田将嗣)
自民党総裁選に出馬した「ポスト石破」の最近の動き支持固め
高市早苗・前経済安全保障相は27日から自らに近い若手議員を連れて台湾を訪ねた。安倍晋三元首相と同様に日台関係を重視する姿勢を打ち出し、支持基盤である保守層との関係強化を狙う。28日には 頼清徳(ライチンドォー) 総統と会談し、その後の記者会見で「価値観を共有する台湾と日本、フィリピンなど同志国との連携の重要性を認識した」と強調した。
小林鷹之・元経済安全保障相は米国を訪問中で、経済安保政策などについて米政府関係者らと面会する。同行する甘利明・元幹事長の人脈を引き継ぐ意図もあるとみられ、米国でのネットワーク構築につなげたい考えだ。総裁選を機に強化した地方行脚と合わせて、国内外で知名度の向上を図る。
実績作り
閣僚組は関税対応に全力を挙げる。林官房長官は日米交渉や国内産業支援を担う作業部会の共同議長に就任した。農相や外相などの要職経験を生かし、訪米を控える赤沢経済再生相を支える。連休中もほぼ都内に残って対応にあたり、中央官庁からは「全て司令塔は林氏」との声も漏れる。
加藤財務相は対米交渉の最前線に立つ。今月24日のベッセント米財務長官との会談では、関税措置の見直しを強く要求し、存在感を示した。SNSを使って自ら撮影した動画で成果を発信するなどアピールにも余念がない。
小泉進次郎・元環境相は小野寺政調会長らと訪米中だ。28日の政策研究機関での講演では「新たな世界のルールを日米共同で構築する領域がある」などと米政権に協調を呼びかけ、首相のサポートに回った。今年3月には党内の「石破降ろし」の声に苦言を呈し、企業・団体献金を巡る議論では禁止を掲げる立憲民主党などを相手に存続の必要性を訴えて一歩も引かず、党内での評価は高まった。
強み発信
茂木敏充・前幹事長は第1次トランプ政権との間で通商交渉を担った経験からテレビ番組に相次いで出演している。28日のBS日テレ番組では、「交渉の優先順位をはっきりするよう求める必要がある」と政府に注文を付けた。トランプ氏も一目置くという交渉力は茂木氏のセールスポイントだ。
このほか、上川陽子・前外相は今月、経済外交の強化を目指す議員連盟を自ら発足させ、会長に就任した。河野太郎・前デジタル相は強いこだわりを持つ社会保障改革の勉強会を開催し、年金改革関連法案の提出に反対するなど党内で積極的に発言している。