優勝者と50打差の“日本ツアー史上ワースト最下位”から… 西郷真央のV字回復

◇女子メジャー第1戦◇シェブロン選手権 最終日(27日)◇ザ・クラブatカールトンウッズ(テキサス州)◇6911yd(パー72)

西郷真央は2022年、日本ツアー初優勝となった開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」から10戦5勝の快進撃を見せた。そこからトントン拍子でメジャー制覇…なら話は早い。しかし、大きな挫折があった。同年11月の最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ」の通算35オーバー、最下位40位である。

宮崎CC開催の国内メジャーは、出場者がシーズン優勝者ら40人で予選落ちなし。西郷は、すでに年間女王を決めていた同学年同期合格の山下美夢有と2サムで回った初日に「83」をたたいた。2日目以降も「83」「76」「81」。それまで通算84試合で4度だけの80台を3度喫した。バーディは3日目の2個だけで、ダブルボギー以上は7個もあり、6個がバーディの取りやすいパー5という異常事態。ドライバーショットが完全に壊れていた。

春先の寝違えで首を痛めたことを機に、スイング修正に踏み切ると、ブレが少なく安定していたドライバーで持ち球のドローの曲がり幅が大きくなった。そのうち振り切ると左OBが出るまで悪化。10月「日本女子オープン」の頃には逆球も出始めた。そんな不安要素が一気に噴出した。

「正直、恐怖があります。原因は全部わかっているのに、わかっていても思うような動きができない。(2日目から)3日間は“何かきっかけをつかみたい”と思ってやっていました」。西郷は4日間を終えて、そう話していた。

最下位のため第1組になった2日目以降は決まってティオフ1時間前、無人の練習場に姿を見せて “きっかけ”を探した。2日目は68球中30球をドライバーで打った。動画を撮ってもらい、テークバック、トップ、切り返しのタイミングを確認する。3日目は58球中15球、最終日は64球中9球。ドライバーショットが減っていったのは、大会中に焦っても仕方ないと思ったせいかもしれない。2日目以降のラウンドでドライバーを握ったのは、基本的にフラットかつストレートで582ydも距離がある2番(パー5)だけだった。

西郷の通算35オーバーと、優勝した山下の通算15アンダーは50打差。それは1988年の国内ツアー施行後、4日間72ホール競技の「優勝と最下位の最大スコア差」になる。

西郷は“日本ツアーワースト記録”から、たった2年半でメジャー優勝という“世界一”を手にしたのだ。(編集部・加藤裕一)

1/50打差/2022年「JLPGAツアー選手権」/山下美夢有 ―15アンダー~西郷真央 +35 2/43打差/2024年「JLPGAツアー選手権」/桑木志帆 ―12アンダー~イ・ヒョソン +31 3/40打差/2016年「ワールドレディス サロンパスカップ」/レキシー・トンプソン ―13~下村真由美 +27、2010年「日本女子プロ選手権」/藤田さいき ―13~具玉姫 +27、1988年「宝インビテーショナル」/パティ・リゾ ―8~松尾香代子(アマ) +32

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