加藤蓮のクロスに合わせたのは角田涼太朗。 マリノス復帰戦を自身のゴールと勝利で祝った [J26節 清水戦レビュー]

ファーストタイムクロス

先制点の伏線は、得点が生まれる1分前にあった。

CKからの二次攻撃は右サイドに展開。喜田拓也が右奥のスペースへ流したボールに対し、走り込んだ植中朝日が間髪入れずグラウンダーでゴール前へ送る。GKDFの間を狙って鋭いパスは戻りながら対応したDFのクリアによって防がれてしまったが、これぞマリノスという攻撃である。

アンジェ・ポステコグルー監督が監督を務めていた時から幾度となく目にしてきた十八番と言っていい。いわゆる“ファーストタイムクロス”で、ゴール前の状況を確認するよりも、とにかくクロスを送り込む。このコンマ数秒だけ早いアクションが相手の守備陣から余裕を奪い、得点につながる。

16分、ヤン・マテウスからのパスに呼応した加藤蓮が植中同様にグラウンダーでゴール前へ。合わせたのはセットプレーオフェンスの流れで前線に残っていた角田涼太朗だ。

お膳立てした加藤が「早いタイミングであのディフェンスラインの間に入れるというのをチームとしてもすごく言われているところなので、本当に中を見ずに、そこに入ってくる共通認識ができているから」と強調すれば、決めた角田は「いい形で(加藤)蓮が上げてくれたので、自分もフリーの状態を作れたし、ほぼクロスで決まったので打つだけだった」と感謝した。

左センターバックと左サイドバックの関係で生まれた得点は偶然だとしても、この2選手が攻撃を活性化したのも間違いない。ボールを持ち運びながら、しっかりとパスを出せる角田の存在は、加藤の立ち位置を数メートル前へ押し出した。すると前方の宮市亮のポジショニングも変わってくる。チーム全体に好影響を与えた角田の存在は大きい。

左膝の負傷でハーフタイムに交代を余儀なくされたことだけが気がかり。得点も含めてマリノスを勇気付けた背番号22が、最高の形で復帰戦を飾った。

ディーン・デイビッドに刺激を受けた谷村海那

追加点は同じくこの夏に加入した選手から生まれた。

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