【村瀬智一が斬る!深層マーケット】自民党総裁選に向けて下値の堅さを意識
RAKAN RICERCA 取締役 会長 村瀬智一
連日で史上最高値を更新してきた日経平均株価は週末こそ反落したが、配当権利付き最終日を迎えて高利回りのバリュー株が物色される一方で、相場を牽引してきた半導体株や人工知能(AI)関連株は利益確定売りに押される場面が目立ち、リバランスの影響が大きかったことが読み取れる。権利落ちの影響は300円ほどとみられ、週明け29日の日経平均株価は4万5000円に接近しそうだが、同水準では押し目待ち狙いの買い意欲が強そうだ。
そのため、来週以降は4万5000円~4万6000円辺りのレンジが意識されてこよう。また、配当取りの需給イベントを通過し、再びAI関連株などに物色の矛先が向かうようだと、指数インパクトの大きい値がさハイテク株をリード役に、全般相場がリバウンド基調を強めてくる可能性がある。ただし、来週は週末に米雇用統計の発表を控えることもあり、追加利下げ期待が後退してきた米国市場の動向を見極めたいとのムードが強まることも想定しておきたい。 一方、10月4日に投開票される自民党総裁選に向けて、相場の下値の堅さは意識されることになろう。次期政権では現政権よりも緩和的な政策へのシフトが予想される。AI関連株が調整に入ったとしても、バリュー株に資金がシフトしていけば、出遅れ感のある銘柄を探る動きが強まりそうだ。 ●活躍が期待される「注目5銘柄」◆日本電設工業 <1950> [東証P]
JR東日本 <9020> [東証P]系の電気設備工事会社。鉄道電気工事では、JR各社のほか公民鉄事業者へ事業領域を拡大。情報通信工事では、新規事業としてインフラシェア(通信アンテナを複数の携帯電話事業者で共有する仕組み)事業へ参入し、企画運営から設計・施工、監視保守までを一貫して行う。株価は8月7日に付けた上場来高値の2960円をピークに調整していたが、75日移動平均線を支持線としたリバウンドによって、上値を抑えられていた25日線を上抜けてきた。高値更新からの一段高に期待したい。◆豆蔵デジタルホールディングス <202A> [東証G]
独立系SI。クラウドコンサルティング、AIコンサルティング、AIロボティクス・エンジニアリング、モビリティ・オートメーションの4サービスを軸に4社体制で事業を展開してきたが、10月1日付でグループ4社を統合し、新たに「豆蔵」として再始動する。なお、子会社のエヌティ・ソリューションズは4月に、生成AIを活用したERP導入支援ツール「AutoConv-Navi」で特許を取得している。株価は8月7日に上場来高値2020円を付けた後、調整局面にあったが、9月12日の1675円を目先の安値に切り返し、上場来高値奪還が射程に入ってきた。◆東海カーボン <5301> [東証P]
黒鉛電極事業を手掛け、カーボンブラックで国内トップシェア。ファインカーボンは、メモリ半導体市場向け主要製品のソリッドSiCフォーカスリングの販売が堅調。パワー半導体向け需要への期待は大きい。2026年1月には完全子会社の東海ファインカーボンが同じく完全子会社のオリエンタル産業を吸収合併する予定であり、ファインカーボン事業でのシナジー最大化を狙う。株価は1000円~1060円処のレンジで推移しているが、直近のリバウンドでレンジ上限突破の動きにある。◆ニッスイ <1332> [東証P]
漁業、養殖から加工・販売までを一貫して展開する水産事業と、家庭用・業務用の 冷凍食品、練り製品などを製造・販売する食品事業が柱。食品事業では家庭用の冷凍食品が順調に推移し、業務用も外食・量販店惣菜向けの冷凍食品が堅調。主食と主菜がセットになったワンプレート冷食シリーズが好調だ。株価は8月入って上昇ピッチが加速し、9月17日には上場来高値となる1091円まで買われた。その後は押しを入れたが、上向きで推移する25日線に支えられて切り返しており、高値更新からの再動意に期待したい。◆日揮ホールディングス <1963> [東証P]
総合エンジニアリング 最大手。8月22日にアフリカ開発銀行とSAF(持続可能な航空燃料)分野での協力に関して覚書を締結しており、アフリカでの航空業界の脱炭素化やSAFの普及推進に力を注ぐ。9月24日にはフィルム型次世代太陽電池向け施工法「シート工法」がNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の公募事業「設置場所に応じた太陽光発電システム技術開発」に採択されたと発表。次世代型太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池の関連銘柄としても注目したい。株価は上向きで推移する25日線を支持線とする強いトレンドを形成している。 (2025年9月26日 記) 株探ニュース