虚空に向かって何を?謎めいた「CP+ 2025のメインビジュアル」を紐解く

Image: CP+ 2025

どうなる、これからのデジカメ界。

年に一度のカメラの祭典「CP+2025」が、今年もスタートします。2025年2月27日〜3月2日の開催期間中は、パシフィコ横浜に最新のデジカメが大集合しますよ!

…にしても今年のCP+、なーんか不思議な感じがするんですよ。公式サイトのメインビジュアルを見るとですね。

カメラの祭典なのに、カメラを持っていない…!?

これってどういう意図があるのか、ちょっと考えてみました。

「撮る面白さ」って、なんだろう?

Photo: 三浦一紀

2億画素のセンサーを搭載したスマホデジタルもフィルムも楽しめるチェキ9秒しか撮影できない動画カメラ。昨今、カメラと呼べる媒体の多様化は僕らの想像を軽々と超えています。

そんな現代において、「撮る行為」ってどういう意味をもつんだろう? どうして人は撮影をするの? メーカーは何を思って製品を作っているの?

僕が思ったのは、自分が見たものを物語化できる機会を得ること=現代の撮影行為、なんじゃなかろうかと。ナラティブと表現してもいいかもしれませんね。

Image: Shutterstock

これを目的とするなら、もはや撮影においての主体はカメラではない。主体は人であり、誰が何を撮るのか、どうしてそれを撮ったのかを一層語るべき時代なのでしょう。

カメライベントのメインビジュアルに、イベントの大主役であるカメラが写っていない。その代わりにカメラ(的ななにか)を構える人が写っており、これこそが撮影という言葉の主体の変遷を表す証左ではないでしょうか。

あなたが撮る。そこにすでに意味がある

Image: Shutterstock

とまぁ、カメラの祭典なのにカメラが写っていない型破りなビジュアルを見て色々と思った次第です。そもそも「Visualize Your Story」というコピーも、撮影者の想いを重視してる感がありますしね。

特に現代は「自分がどう見られるか/自分をどう見せたいか」に対して敏感な時代でもあります。撮影や写真は自分を語れる重要なツールであり、ネットなどで自分を魅力的に発信している人も見つけやすくなりました。

Image: urbanbuzz / Shutterstock.com

そういえば2023年ごろから、あえて古いカメラを使うブームがありました。「Lightroomでいじれば?」とも思ってましたが、あえて古いカメラを使う選択すらも撮影体験の一環と思えば、撮影者主体の萌芽は当時からあったのかもしれません(遠因に、高画素スマホカメラによる写真の画一化やデジカメの高騰といった科学&経済のビッグウェーブがあったとしても)。

デジカメイベントの総本山たるCP+が、メインビジュアルからカメラを消した。これこそ、撮影の主役はユーザーであることを示すデジカメ市場の決意とも受け取れますし、変わっていこうじゃあないかという気概も感じるわけです。なかな気合の入ったビジュアルですよ。

Source: CP+2025

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