窓に亀裂が見つかっていた中国の宇宙船「神舟20号」が無人での帰還に成功
CMSA(中国載人航天工程弁公室、中国有人宇宙プロジェクト弁公室)は2026年1月19日付で、宇宙船「神舟20号」が無人での地球帰還に成功したと発表しました。
発表によると、神舟20号は日本時間2026年1月19日1時23分にCSSを離脱。軌道モジュールと推進モジュールを切り離して大気圏に再突入した帰還モジュールは、日本時間同日10時34分に、中国・内モンゴル自治区の東風着陸場へ着陸しました。
帰還直前に窓の亀裂を発見 クルーは別の宇宙船で帰還
中国の陳冬(ちん・とう)宇宙飛行士、陳中瑞(ちん・ちゅうずい)宇宙飛行士、王傑(おう・けつ)宇宙飛行士が搭乗した神舟20号は、2025年4月に打ち上げられてCSS(中国宇宙ステーション)「天宮」に到着。3名は2025年11月1日に打ち上げられてCSSに到着した「神舟21号」のクルー3名と交替して、2025年11月5日に神舟20号で帰還する予定でした。
しかし帰還予定の当日、CMSAは神舟20号の窓にスペースデブリ(宇宙ゴミ)が衝突していた可能性を明らかにするとともに、宇宙飛行士の安全確保とミッション成功のためにクルーの帰還延期を決定したと発表。2025年11月14日には神舟20号のクルーが神舟21号に乗り換えることが発表され、その日のうちに帰還しました。
一方、宇宙船を譲る形になった元・神舟21号のクルーのために、次の宇宙船「神舟22号」が2025年11月25日に無人で打ち上げられ、CSSに無事到着しています。
- 中国が宇宙船「神舟22号」を無人で打ち上げ 3時間半後に中国宇宙ステーションへ到着(2025年11月28日)
こうした動きの間も、損傷した神舟20号は関連した実験を行うためにCSSにドッキングしたままの状態が続いていましたが、今回無人で帰還することに成功しました。着陸後に現地で行われた検査の結果、外観は概ね正常で、船内の物品も良好な状態であることが確認されたと述べられています。
【▲ パラシュートを展開して降下する宇宙船「神舟20号」の帰還モジュール(Credit: CMSA)】【▲ 東風着陸場に着陸した宇宙船「神舟20号」の帰還モジュール(Credit: CMSA)】亀裂は窓を貫通か 無人での帰還前に処置装置を設置
今回の神舟20号の帰還や、3日前の1月16日に開催されたクルーの記者会見を受けて、より詳細な情報が公式に明らかにされています。
CMSAやCASC(中国航天科技集団)によると、2025年11月4日、CSSからの帰還に向けて点検を行っていたクルーが神舟20号の窓に生じた小さな三角形の亀裂を発見。亀裂は窓を貫通しており、迅速に招集された専門家による分析・検討の結果、有人帰還の安全条件を満たしていないと判断されました。
帰還延期の決定を受けて、神舟20号のクルーを神舟21号で帰還させるための緊急手順が開始。本来なら6か月後になるはずだった神舟21号の帰還に向けて準備が進められるかたわら、神舟22号の緊急打ち上げに向けた準備も並行して進められました。
神舟21号帰還後の2025年12月9日には、神舟22号(元・神舟21号)のクルーがEVA(船外活動)を行って、神舟20号の窓に生じた亀裂の高解像度画像を撮影。また、神舟22号で送り届けられた亀裂の処置装置を神舟20号の船内に設置することで、大気圏再突入時の耐熱性と密閉性が高められたということです。
ISSでは早期帰還を実施 今後は緊急的対応も増加?
2026年1月には、ISS(国際宇宙ステーション)で長期滞在を行っていたNASA(アメリカ航空宇宙局)の有人飛行ミッション「Crew-11(クルー11)」の宇宙飛行士1名に医療上の事案が発生したことを受け、予定を1か月ほど前倒して帰還するという出来事がありました。
ISSは2030年で運用を終了する予定ですが、現在は民間企業による商業宇宙ステーション計画が複数進められています。近い将来、さらに多くの宇宙ステーションが地球低軌道を周回するようになれば、緊急的な対策が講じられるケースも増えることになるかもしれません。
文・編集/sorae編集部