トランプ氏、オレゴン州にカリフォルニア州兵を派遣 連邦地裁が差し止め命令
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差し止め命令を出したキャリン・イマーグート判事は4日、トランプ氏がポートランドにオレゴン州兵を派遣しようとしたことに対し、一時差し止めを命じていた。
トランプ氏は、移民取り締まりをめぐる抗議デモが国内各地の都市で続く中で、自身が「制御不能な犯罪」と呼ぶものに対処するとして、同氏と対立する民主党が首長を務める都市を中心に、対応を強化している。ポートランドはその最新例となっている。
国防総省は5日、カリフォルニア州兵200人をポートランドに配置転換したと認めた。「移民税関捜査局や他の連邦職員が公務に当たるのを支援する」のが目的だとした。
その少しあとに、ポートランドの連邦地裁のキャリン・イマーグート判事が、カリフォルニア州兵の派遣の差し止めを命じた。同地裁には、同州とオレゴン州が、差し止め命令を求めていた。
トランプ氏の指名を受けて連邦判事になったイマーグート判事は、ポートランドでの最近の抗議行動について、連邦政府の指示による州兵派遣が必要になったことを示す証拠はないと理由を説明した。
また、オレゴン州の同意なしに軍隊を使って情勢不安をしずめることは、同州や他州の主権を脅かし、ポートランドでの緊張を高めるとした。
この差し止め命令は、最短でも今月19日まで効力をもつ。ホワイトハウス側はコメントを出していない。
今回の差し止め命令が出る前、ホワイトハウスのアビゲイル・ジャクソン報道官は、「トランプ大統領は、ポートランドの連邦政府の資産と職員を保護するため、合法的な権限を行使した。これは、法執行機関への暴力的な暴動や攻撃を受けたものだ」と述べていた。
一方、イリノイ州のJ・B・プリツカー知事は5日夜遅く、トランプ氏が「テキサス州兵400人をイリノイ州やオレゴン州、米国内のその他の場所に派遣するよう命じた」と述べた。
同知事は声明で、この派兵案を「トランプの侵略」と批判。どの州に対しても、現地当局の「認識や同意、または協力」なしに軍隊を派遣する「理由はない」とした。
CNNの取材に対しては、イリノイ州への軍隊の派遣が認められれば抗議行動が誘発されるとプリツカー知事は主張。トランプ政権が「戦場」をつくり出し、その対応を正当化しようとしていると非難した。
プリツカー知事はまた、テキサス州のグレッグ・アボット知事に対し、「この決定へのいかなる支持も直ちに撤回し、協調を拒否する」よう求めた。
これを受けてアボット知事は、Xで声明を発表。「連邦政府職員の安全を確保するため」にテキサス州兵を招集するというトランプ氏の決定を「全面的に承認する」とした。
また、「連邦職員の保護を徹底するか、テキサス州兵に任せて邪魔をしないか、どちらかだ」とした。
イリノイ州シカゴではポートランド同様、移民取り締まりの強化に対する抗議デモが起きている。4日には抗議デモが暴力的になり、入国管理当局は、武装した女性に発砲したと発表した。この女性らが車を警察車両に突っ込ませたとしている。
女性の容体は不明。当局は、女性が自分で運転して病院に向かったとした。
トランプ政権による移民取り締まりの強化をめぐっては、ポートランドや他の都市で抗議デモが続いている。特にポートランドは、トランプ氏の支持者らに「アンティファ」と呼ばれる人たちが集中しているとされ、トランプ氏がことさらに攻撃している。大統領は最近、極左活動家らによる緩やかな組織運動とされるアンティファ(反ファシストの略)を、国内テロ組織に指定する大統領令に署名した。
今回のポートランドへの州兵の派遣は、トランプ氏が制御不能な犯罪に対処するとして、シカゴに州兵300人を派遣すると決定した翌日に行われた。
州兵は、陸軍と空軍の主要な予備部隊となっている。各州を拠点とし、州知事または大統領によって招集される。洪水やハリケーンなどの災害救援に派遣されることが多いが、国外での軍事作戦を支援することもある。
トランプ氏は今夏、首都ワシントンとロサンゼルスへの州兵派遣を指示した。通常、派兵の派遣は州知事に委ねられているため、これらは重要な決定だった。
トランプ氏は、多くの都市で、犯罪と移民の取り締まりの支援に州兵を使おうとしている。
カリフォルニア州ロサンゼルスではこの夏、取り締まりが集中的に強化されたことを受け、連日大規模な抗議デモが行われた。
カリフォルニア州の連邦判事は9月、トランプ氏によるロサンゼルスへの州兵派遣について、連邦政府が国内問題に対して軍事力を行使する権限を制限する法律に違反するとして、違法だとの判決を出した。