日本株市場で親子上場解消トレードに期待感、豊田織にMBO提案浮上

佐野日出之

  • 住友電工子会社の住友電設や関西電グループのきんでんが大幅高に
  • 170社超す上場子会社、東証改革で収益機会の可能性-ジェフリーズ

トヨタ自動車の創業家などがグループの源流である豊田自動織機に対し非公開化を前提とした買収提案を行ったことを受け、日本株市場では親子上場の解消に向けた動きが今後広がるとの観測が強まった。

  28日の関連銘柄の値動きを見ると、電線メーカーの住友電気工業の上場子会社で、電気工事などを手掛ける住友電設の株価が9%高と急伸。好決算の材料も加わった関西電力の持分法適用会社で、電設工事のきんでんも12%高となった。

  東京証券取引所では以前から世界的に例が少なく、物言う株主などアクティビストを含む投資家から不満の多い親子上場について開示の強化を求めるなど上場企業に対し圧力をかけてきた経緯がある。2月には「親子上場等に関する投資者の目線」を公表し、少数株主保護の観点からも親子上場について改めての検討や情報開示の強化、投資家との対話を該当企業に対し促した。

  ジェフリーズ証券シニア・クオンツ・ストラテジストのシュリカント・カーレ氏は、国内に176社の上場子会社が存在し、他の上場企業の持ち分が20%以上となる企業を含むと542社に達すると指摘。「東証の改革は日本企業の伝統的な株式保有構造を揺るがしている」とし、親子上場の解消は多くの収益機会をもたらすとの見方を示している。

  トヨタは複雑な株式の持ち合い構造と親子関係で知られてきたが、最近はこうした状況を解消する動きを見せ始めており、今回の豊田織を巡るニュースもグループ再編や資本効率の見直しにつながる流れの一環と市場では受け止められた。

  しかし、一部の市場関係者は今回の豊田織に対する非公開化を前提とした買収提案が流れに沿った動きか、あるいはかえって創業家支配を強める結果になるのかつかみかねている。

  岩井コスモ証券の清水範一アナリストは、ガバナンス(統治)にとってどのような意味を持つかは不透明で、株主の意見も分かれるのではないかと話している。

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