小泉進次郎でも林芳正でもない…永田町通の気鋭の国際政治学者「トランプ、習近平と戦える唯一の新総裁名」(プレジデントオンライン)

自民党の次のリーダーは誰がふさわしいのか。国際基督教大学で政治・国際関係学教授を務め、日本国際問題研究所客員研究員を兼任するスティーブン・ナギさんは「自民総裁選は派閥力学、学歴、世代間対立など、内向きの議論ばかりで、政策論が深まらない。これでは再び回転寿司政治に逆戻りしてしまう」という――。 【写真をみる】米国のシンクタンクCSISとのつながりもある小泉進次郎氏 ■総裁になるべき人・なってはいけない人  自民党総裁選が迫っている。  高市早苗氏、小泉進次郎氏、林芳正氏、茂木敏充氏、小林鷹之氏の名前が連日取りざたされているが、今回重視すべきは誰が党内政治を巧みに乗り切れるかではない。日本が抱える課題に具体的で実行可能な解決策を示せるかである。 ■短命政権の悪夢がよみがえる  2006年から2012年。この6年間で、日本は6人もの首相を見送った。次から次へと首相が交代し、まるで回転寿司のようだと揶揄された時代。政策は停滞し、日本の国際的な存在感は薄れていった。  その後、安倍晋三氏が8年間政権を維持し、ようやく安定を取り戻した。次のリーダーも権力を握るだけでなく、それを長期間、効果的に行使できる能力が求められる。  しかし、これは簡単ではない。党内では80代の実力者が影響力を持つ。学歴を重視する風潮も根強い。さらに政治家一族の間では、世代を超えた対立もある。これらすべてを乗り切らなければならないのだ。 ■各候補者の強みと弱み  まず高市氏を見てみよう。彼女は安倍路線の継承者だ。経済安全保障担当大臣、政調会長として実績を積んできた。中国には強硬姿勢を貫き、伝統的価値観を重視する。同性婚や夫婦別姓には反対の立場だ。  若い世代には不人気かもしれないが、保守層の支持は厚い。これは重要なポイントだ。なぜなら、参政党や未来党といった新興勢力が右から攻撃を仕掛けてきており、それに対抗できる。  一方、小泉氏は違う魅力を持つ。何より若い。環境問題に熱心で、東日本大震災後はボランティアにも積極的に参加した。米国のシンクタンクCSISとのつながりもあり、コロンビア大学院で学んだ経歴は国際的な信用につながる。  だが44歳という若さは、党内では不利に働く。ベテラン議員たちは彼の米国留学を「箔付け」と見なしている。日本の大学での成績が平凡だったことを、海外の名門大学でカバーしようとした、というわけだ。父・純一郎氏の七光りは確かに強力だが、それだけで党の重鎮たちを束ねられるか。疑問視する声は少なくない。 ■経験豊富だが、課題も多い候補者たち  林氏の経歴は米国人の筆者から見ても、圧巻だ。ハーバード大学ケネディスクール卒業。マンスフィールド・フェローシップの立案者。6つの大臣ポストを歴任。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉でも活躍した。  しかし致命的な弱点がある。2021年まで日中友好議員連盟の会長を務めていたことだ。対中強硬論が主流となった今、これは大きなマイナスだ。「親中派」のレッテルを貼られれば、総裁選での勝利は難しい。  茂木氏も優秀だ。東大卒、ハーバード卒ケネディ行政大学院卒、マッキンゼー出身。TPP交渉を成功させ、トランプ政権とも貿易協定をまとめた。派閥の汚職問題が発覚した際には、潔く解散を決断した。  だが人間関係に難がある。「横柄」「人の話を聞かない」といった評判が党内で定着してしまった。日本の政治は合意形成が基本。いくら有能でも、人望がなければトップには立てない。  小林氏は国際感覚に優れ、政策通として知られる。しかし小泉氏と同じく若さがネックだ。しかも小泉氏のような知名度も、強力な後ろ盾もない。現在の自民党では、これは大きなハンディキャップとなる。

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