インドネシアで学校の建物崩壊、多数が閉じ込められた恐れ

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画像説明, 建物がさらに崩れる恐れがある中で、救助活動が続いている

インドネシア東ジャワ州のシドアルジョにあるイスラム寄宿学校「アル・ホジニー」で9月29日、建物が崩壊した。数十人ががれきの下に閉じ込められているとみられ、救助隊が捜索を続けている。

当局によると、2階建ての建物の崩落で、少なくとも生徒5人が死亡し、約100人が負傷。数人は重体だという。

生徒のほとんどは10代の男子で、祈りの時間に数百人が集まっていた際に建物が崩れた。

当局によると、10月1日の時点で、がれきの下から泣き声や叫び声が聞こえ、現場に集まった家族は夜通し安否の知らせを待った。

国家捜索救助庁のモハマド・シャフィイ長官は記者団に対し、閉じ込められている人数については「混乱」があると述べたうえで、「今は救助活動に集中している」と話した。

長官によると、1日に救出された2人のうち1人は死亡、もう1人は治療中だという。

9月29日から始まった救助活動では、これまでに13人が救出されたが、9月30日に2人が病院で死亡した。

当局によると、建物では2階分の増築工事が行われていた。基礎が不安定で重量に耐えられなかったことが、崩壊につながったという。

シドアルジョの自治体トップは、増築許可を学校は取得していなかったと述べている。

救助隊は、がれきの下に閉じ込められた生存者にたどりつこうと、建物の下にトンネルを掘っている。しかし、構造が不安定なため、さらなる崩落の危険があると当局は警告している。AFP通信によると、夜間に発生した沖合の地震により、救助作業は一時中断された。

セプル・ノペンバー工科大学で土木工学を専門とし、崩壊した建物の被害状況把握に携わっているムジ・イルマワン氏はBBCインドネシアに対し、がれきを取り除く際には、構造の安定性を損なう可能性があるため慎重に作業する必要があると話した。

国家捜索救助庁のシャフィイ長官も、救助隊員がコンクリート板を動かして救出のための空間を作っているものの、この作業が「がれきの下にまだ閉じ込められている生存者の命を危険にさらす可能性がある」と指摘している。

「掘削作業では、両側で小規模な地滑りが起きるリスクがある。崩壊した建物の構造では、わずかな振動も影響につながる可能性がある」とシャフィイ長官 は述べた。

救助隊は地下の排水路を通って生存者に接近しており、移動できる空間の幅は約60センチしかないという。

災害発生から72時間以内は「ゴールデンタイム」とされ、生存率が最も高いとされるため、救助隊は時間との闘いを続けている。

「このゴールデンタイムの間に生命反応を検知できれば、被害者を救出できる可能性がある」とシャフィイ長官は述べた。ただし、水分やビタミンがあれば、より長く生存できる可能性もあるという。

生存者の一人、ムハンマド・リジャルル・コイブさん(13)は、崩壊直前の状況について、「多くの人、たぶん何百人もの人が祈り始める矢先だった。その瞬間に、石が落ちる音が聞こえた。音は続いて、どんどん大きくなった」と話した。

リジャルルさんはすぐに外へ逃げようとしたが、屋根から落ちてきた破片の一部が顔に当たったという。

「(祈りの部屋から)走って逃げたかったけれども、屋根が顔に落ちてきた」とリジャルルさんは地元メディアに話した。脱出経路を指し示してくれた人がいたため、がれきの中から自力ではい出て助かったという。

女子生徒たちは校内の別の場所で祈っていたため、無事に避難できたとされる。一方、多くの男子生徒は逃げられなかった。

最初に死亡が確認されたのは、マウラナ・アルヴァン・イブラヒマヴィッチさん。小学校を卒業したばかりで、約4カ月前にアル・ホジニー校に入学したばかりだった。遺体は9月29日夜、地元ブレガ地区の警察署長の指揮のもと、葬儀場へ搬送された。

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