米中通商協議は10日再開、「順調」とトランプ氏 輸出規制解除「様子見」
[ワシントン 9日 ロイター] - ロンドンで9日に始まった米中の通商問題を巡る2回目の閣僚級協議は10日に再開されることとなった。先月ジュネーブで実施した協議後に米国はレアアース(希土類)を巡り中国が合意事項の履行を遅らせていると非難しており、両国は軌道修正を図る。
トランプ米大統領は9日、協議について「(ロンドンから)良好な報告を受けている」と述べた。ホワイトハウスで記者団に対し、中国とはうまくやっているとしながらも、容易な相手ではないと指摘。輸出規制の解除については「様子を見よう」と述べるにとどめた。
米国の関係筋によると、協議は10日午前10時(0900GMT)に再開予定。
今回の協議には米国からベセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア米通商代表部(USTR)が出席している。中国からは何立峰副首相が率いる交渉団が出席。交渉団には王文濤商務相のほか、李成鋼・通商交渉官らが含まれている。
米ホワイトハウスの国家経済会議(NEC)のハセット委員長は9日、トランプ大統領と中国の習近平国家主席との先週の電話会談を受け、米国はレアアース問題で中国と合意することを望んでいると言及。CNBCのインタビューに対し「今回の協議の目的は、(中国が)真剣であることを確認し、文字通り握手を交わすことだ」とし、握手が交わされた後、すぐに輸出規制が緩和され、レアアースが大量に輸出されると期待していると述べた。
ラトニック長官は5月にジュネーブで実施された1回目協議には参加していなかった。今回の協議ではレアアースが中心的な議題になっているため、輸出規制などを監督する商務省を率いるラトニック氏が参加していると見られている。
中国外務省によると、何副首相は13日まで英国に滞在する。
<輸出規制>
中国は4月、レアアース磁石など一部の重要鉱物類の輸出停止を決定。世界各地の自動車や航空宇宙、半導体、防衛といった産業が構築しているサプライチェーン(供給網)の中枢を揺るがしている。
第一次トランプ政権のホワイトハウス通商担当顧問だったケリー・アン・ショー氏は、中国が輸出規制を含む報復措置を解除するという約束を再確認するとともに、「ここ1─2週間の新たな輸出規制に関して、米国側がいくらか譲歩する」と予想していると述べた。
ただ同氏は、米国は高度な人工知能(AI)半導体のような以前からの輸出規制ではなく、最近のいくつかの輸出規制の解除に同意するにとどまるとの見方を示した。
米政府は5月、半導体設計ソフトウエアと化学薬品、航空機器の対中輸出停止を命じ、すでに下りていた輸出許可を取り消した。
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