GDP4─6月期は5期連続プラス、先行き下振れリスクに留意
[東京 15日 ロイター] - 内閣府が15日発表した4─6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)が前期から0.3%増え、5四半期連続のプラスとなった。輸出や設備投資などが寄与した。年率換算では1.0%増だった。
ロイターがまとめた民間調査機関予測の中央値は前期比0.1%増、年率換算で0.4%のプラス成長で、結果は予想を上回った。
赤沢亮正経済再生相は、結果を受けて公表した談話で「景気が緩やかに回復していることが確認される結果となった」と指摘。先行きは、米国の関税の影響や国内の物価上昇継続などが景気を下押しするリスクに留意が必要だとした。
<個人消費、設備投資は5四半期連続プラス>
GDPの過半を占める個人消費は前期比0.2%増。値上げがあったアルコールや飲料などが下押しした一方、夏物衣料などの衣服や、1─3月期の供給制約が落ち着いた自動車などがプラスに寄与した。5四半期連続プラスとなった。
個人消費とともに内需の柱となる企業の設備投資は同1.3%増。ソフトウェア投資がけん引し、5四半期連続プラスとなった。
民間住宅は同0.8%増で2四半期連続プラス。公共投資は同0.5%減で2四半期ぶりマイナスだった。
輸出は同2.0%増。電子部品・デバイスなどが増加に寄与した。トランプ関税の影響が懸念された自動車の輸出は、メーカーが価格を下げて数量を維持したこともあり、実質ベースでは押し下げ要因にならなかった。外需寄与度はプラス0.3%で、2四半期ぶりプラスだった。
1─3月期実績は輸出や消費、公共投資などで季節調整や基礎統計の改定分などを反映した結果、改定前の前期比マイナスからプラスに転じた。
今後の展望について、大和証券の末広徹チーフエコノミストは、個人消費の弱さに加えてインバウンド(訪日外国人)消費にも陰りがみられ、経済のけん引役不在の中で「ほぼゼロ成長が続く」との見方を示す。日本経済が底割れする可能性は低いものの、「緩やかな景気悪化局面に入っている」と指摘した。
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