トランプ大統領、クックFRB理事解任を巡り法廷闘争に臨む構え
トランプ米大統領は26日、クック連邦準備制度理事会(FRB)理事との法廷闘争も辞さない姿勢を示した。トランプ氏は前日、クック理事が住宅ローン申請書類を巡り不正を働いたとの疑惑を受け、クック氏を即時解任する意向を表明していた。
クック理事の弁護士はトランプ氏にクック理事を解任する権限はないと述べ、訴訟を提起すると表明。FRBはクック氏の法的異議申し立てに関して、「いかなる裁判所の判断にも従う」とのコメントを発表した。FRBの報道官は、クック氏の現在の職務上の地位については判断を保留しているとし、今週は理事会に公式の案件はないと述べた。
FRBは声明で、「クック氏は自身の弁護士を通じて、速やかに裁判所にこの措置への異議申し立てを行い、上院の承認を得たFRB理事として職務を継続する権能を確認する司法判断を求める意向を示した」と説明した。
トランプ氏はホワイトハウスでの閣議で、自分も裁判所の判断に従う用意があると述べたが、クック氏の提訴を懸念していないと示唆。「クック氏は違反行為をしたようだ。違反は許されない。とりわけ住宅ローン政策を所管する立場にある以上、違反はあってはならない」と話した。
トランプ氏はまた、クック氏が2件の住宅ローン申請で同じ住宅を主たる居住地と記載したとされる疑惑への懸念を強調。クック氏の後任として「非常に優れた人物」を既に数人検討していると明らかにした。
そしてFRBで「間もなく多数派を得ることになる。それが実現すれば住宅市場は好転し、素晴らしいものになる」と語った。
トランプ氏はその上で、空席となっている来年1月までの理事ポストに指名したホワイトハウスのミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長について、クック氏が現在務める2038年までの理事ポストに充てる可能性を示唆した。
クック氏がこの解任に対して法的に異議を申し立てた場合、クック氏は訴訟が進行する間、自身の職務への復帰を求める仮処分を即座に申請する可能性がある。
トランプ氏によるクック理事解任の動きは、FRBに対する支配力を強める試みを劇的にエスカレートさせるものだ。この法廷闘争は金融政策に大きな影響を与える可能性がある。トランプ氏がクック氏を解任した場合、FRB(7人の理事で構成)で息のかかった計4人の多数派を確保でき、利下げに慎重なパウエルFRB議長への不満を示してきた大統領に有利になると考えられる。
米国の歴史上、大統領がFRB理事を解任したことはない。民主党議員らは直ちに反発。上院銀行委員会の民主党筆頭理事を務めるウォーレン議員は、「クック氏を解任しようとするこの違法な試みは、自身の失政によって米国民の生活費を下げられなかった責任を他人に転嫁しようと、切羽詰まった大統領の最新のスケープゴート探しだ」と批判。「これは連邦準備法を公然と踏みにじる独裁的な権力奪取で、司法の場で覆されなければならない」とする声明を電子メールで送付した。
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原題:Trump Says He’s Prepared for Fight Over Cook’s Ouster From Fed(抜粋)