アメリカ、ウクライナへのパトリオットミサイル500発の売却を承認
Reuters
この記事は約 4 分で読めます
アメリカは30日、ロシアの空爆激化に対して自衛するウクライナにとって不可欠な防空ミサイル「パトリオット」について、ウクライナへ500発の売却を承認した。
しかし、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ミサイルの到着には「数年」かかる可能性があると警告している。
米国務省はこの日、最新鋭の迎撃ミサイル「PAC-3」の費用は21億ドル(3300億円)で、その資金はウクライナの同盟国である欧州とカナダによって「全額」拠出されると述べた。
ゼレンスキー大統領は同日、パトリオットミサイルの配備を加速するよう、改めてアメリカに要求した。同ミサイルは、甚大な被害をもたらすロシアの弾道ミサイルを迎撃するための、唯一の有効な兵器。
アメリカ政府のこの決定に先立ち、今月初めにはゼレンスキー大統領とドナルド・トランプ米大統領が対立を続けていた。両大統領は、アメリカがロシア産ディーゼル燃料の確保を目的とした合意の一環として、ロシアに対する制裁を緩和したことを機に、互いを批判した。
トランプ氏は、ウクライナがロシアとの戦争を終結させるための合意をまとめる新たな指導者を得る時が来たと述べた。ロシアは2022年2月、ウクライナへの本格的な侵攻を開始した。
その後、ゼレンスキー大統領が20日にオスロでアメリカ特使と会談し、緊張は緩和された。
米国務省は30日の声明で、「今回の売却案は、欧州における政治的・経済的安定の原動力となっているパートナー国の安全保障を強化することにより、アメリカの外交政策および国家安全保障上の目標を支援するものとなる」と述べた。
声明によると、「ウクライナはこの購入費用を、JUMPSTARTプログラムを通じたカナダ、ドイツ、ノルウェーからの寄付金と、欧州連合(EU)のウクライナ支援融資によって資金提供される国内資金で支払う」 という。JUMPSTARTは、米国防総省が設立した、サービスや訓練、物品の迅速供給を目的としたウクライナ共同多国籍プログラム。
また、「主要契約者」は「パトリオット」を製造している米ロッキード・マーティンで、「この売却に、アメリカの資金は一切関与していない」としている。
こうしたなか、主要20か国(G20)外相会議ではこの日、欧州の外交官たちがロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相の出席に抗議し、公式集合写真の撮影を拒否した。
この会合は、マルコ・ルビオ米国務長官が米アトランタで主催している。
イギリスのエド・ミリバンド外相は会合の中で、「ロシア外相に直接申し上げたい。この戦争の侵略者が誰なのかは、誰もが知っている」とラヴロフ外相に言い、ウクライナで罪のない民間人を殺害したとしてロシア政府を非難した。
ゼレンスキー大統領は今週初め、ウクライナはアメリカが重要なミサイル供給を承認するのを1カ月近く待ち続けており、ミサイルの供給量が極めて不足していると述べた。
30日遅くにソーシャルメディア「X」に投稿した記事の中でゼレンスキー氏は、アメリカの今回の発表を歓迎しつつも、ウクライナはパトリオットミサイルを「今すぐに」必要としていると述べた。
また、ロシアが冬を前に主要なエネルギーインフラへの攻撃を激化させており、これまで2週間以上の間に、ウクライナ電力網の「重要な部分」に対して「ロシア軍による攻撃が30回以上」あったと述べた。
ウクライナは迎撃ミサイルを切実に必要としているが、アメリカがイランとの戦争で迎撃ミサイルを使用しているため、世界的に供給不足が生じている。
パトリオット・ミサイルの生産スケジュールは明らかではないが、今回の発注は既存ミサイルではなく新規製造に関するものだと理解されており、ウクライナへの迅速な納入は期待できないだろう。
パトリオット・ミサイルは製造期間も長く、米国防総省によると、年間わずか600発しか作られていない。