京王の新型車両2000系登場! 今までの京王線にはない「超大型」の窓も

京王電鉄は10月27日、新型車両の2000系を、報道陣に公開しました。

京王2000系

2000系は、2026年1月31日にデビューする予定の一般型車両。2017年にデビューした5000系以来の新型車両ですが、ロングシートの新型車としては、2000年デビューの9000系以来の導入となります。

他社ではデュアルシート搭載車のロングシート車両を導入している事業者もありますが、京王では、5000系のロングシートバージョンを導入するのではなく、約8年という比較的短いスパンで新型車両を導入することとなりました。京王電鉄 車両電気部車両企画担当課長の佐々木昌さんは、「新しい風を取り入れるため」と説明。このほか、ライナー用の5000系と、一般列車用の2000系で、それぞれ別のイメージを持たせるためという理由もあるといいます。

2017年デビューの5000系。「京王ライナー」など、有料の定員制列車を中心に活躍しています

車両のコンセプトは、「もっと、安全に、そして安心して、これからもずっと、のっていただける車両を。全ての世代に、やさしく、そして、ワクワクしてもらえる車両を」。デザインはこのコンセプトを基に決定されたものですが、そのプロセスにおける利用者や社員の声から得られたニーズの分析には、AIも活用されています。

デザインは、内外装とも、円をモチーフとしたラウンド型の要素を取り入れ、多くの人が優しさを感じ安心できる車両の表現、心を落ち着かせるナチュラルな空間の演出を狙っています。

「ラウンド型」の要素が取り入れられた2000系

車両は総合車両製作所製で、同社の「sustina」プラットフォームを採用。車体はステンレス製で、側面には京王レッド・京王ブルーの帯のほか、両色から着想を得たピンク、水色、両色を混ぜた色である紫色、そしてかつての京王の車体色、現在の京王車でも先頭部の塗装で使われているアイボリーの4色からなる、円形の模様が描かれています。

京王レッド・京王ブルーの帯のほか、ピンク、水色、紫色、アイボリーの4色からなる円形の模様が描かれています

車内は、基本的にロングシートを設置。外観同様、シートモケットや床面などに、ラウンド型の要素が取り入れられています。

2000系の車内 床面にもラウンド型のデザインが

2000系の最大の特徴と言えるのが、5号車に設置された大型フリースペース「ひだまりスペース」。小さな子ども連れの利用者や、車いすを利用しての乗客などに配慮されたスペースで、車いすやベビーカーを折りたたまずに乗車できるほか、車窓を子どもが眺めやすいよう、下方向に大きく拡大された窓が設置されています。

5号車の大型フリースペース「ひだまりスペース」 下方向に大きく拡大された窓を設置した「ひだまりスペース」。2000系はsustinaプラットフォームに則った車両ですが、この部分は特注だといいます

この「ひだまりスペース」が5号車となったのは、この付近に各駅のエレベーターが多いことが理由だそう。かつて京王では、混雑が激しい編成中央部に5扉車を連結していたことがありましたが、今回の「ひだまりスペース」の連結位置については、混雑対策とは関係ないようです。

乗務員室の直後にも、子ども連れ利用者への配慮が盛り込まれています。この部分の仕切り壁には、5000系までの車両では前面にわたって窓が設置されていましたが、2000系では向かって左側の窓は廃止されてしまいました。代わりに、向かって右側にある扉の窓は、小さい子どもでも前を見やすいよう、窓を下方向に拡大。手すりも子どもがつかみやすい位置に設置されています。

乗務員室直後の仕切り壁。向かって左側の窓が廃止された一方、扉の窓は下方向に拡大されています

ちなみに、乗務員室仕切り壁の向かって左側にあった窓が廃止された理由は、ワンマン運転対応などで搭載する機器が増えたため、この部分の裏側(乗務員室側)も機器スペースに充てたから、とのこと。京王では、ワンマン運転導入のため、2030年代中ごろに自動運転(自動運転レベル「GoA2」、運転士が乗務するタイプ)を京王線に導入する計画。すでに2000系もこれに対応した設備が一部搭載されており、運転台にはワンマン運転時の各種操作ボタン、乗務員室仕切り壁の扉には非常時などに使用する「通行可」のランプが設置されています。

2000系の乗務員室 2000系の運転台。現時点で機能するかは不明ですが、すでにワンマン運転用のボタンが搭載されています

制御装置には、フルSiC適用のVVVFインバータを採用。7000系との比較では、約20パーセントの省エネ化を実現しているといいます。フルSiC適用のVVVFインバータは、同社では9000系更新車に次ぐ採用ですが、新製車としては同社初採用です。なお、9000系では東芝製制御装置と同期電動機(PMSM)の組み合わせでしたが、2000系の制御装置は日立製作所製で、モーターも誘導電動機となっています。

9号車のVVVFインバータ制御装置 6号車のVVVFインバータ制御装置

車両側面のLED表示器は、5000系では大型タイプだったところ、2000系ではふたたび従来サイズとなりました。9000系更新車と同じものを使用しているそうで、共通化を意識したようです。

2000系の側面表示器

2000系は、先述したように、2026年1月31日に営業運転を開始する予定。今後、2027年3月までに、4本の導入が予定されています。

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