円の急変警戒、為替協議の思惑なら一段高へ=来週の外為市場
[東京 16日 ロイター] - 来週の外為市場でドル/円は、米関税政策や日米協議の行方に振れやすい展開となりそうだ。20日以降に行われる見通しの日米財務相会談、3回目の関税交渉に大きな関心が集まっており、為替協議の思惑が広がれば、円が一段高へ進む可能性もある。
予想レンジはドルが142━148円、ユーロが1.10―1.16ドル。
トランプ政権への不信感から資金流出懸念を抱えるドル、一夜にして反転する市場心理の明暗に応じて上下する円、ドル切り下げ/円切り上げの政治的な思惑などが複合的に絡み合い、ドル/円は日々大きく上下動する不安定な値動きが続いている。
その週の高値から安値を引いた週間値幅は、ここまで4週連続して4円近い値幅を記録した。米大幅利下げ観測でドルが139円台へ急落した昨年9月の5週連続に次ぐ、およそ8カ月ぶりの大きな変動ぶりとなっている。
円の売買そのものも、海外投機筋がドルの切り下げを予想して過去最大の買いを仕掛ける一方、一方向的な円高は期待しづらいと見た個人が売りで立ち向かい、交錯する場面が増えている。「個人のロスカットが(海外ファンドなどの)プロに狙われている」(FX会社アナリスト)ことも、変動を加速させる一因となる。
最大の注目材料は、加藤勝信財務相や赤沢亮正経済財政再生相と、ベセント米財務長官の直接対話。財務相会談では通貨協議の有無や行方、貿易交渉では自動車関税などの扱いや、米国が準備しているとされる「新たな措置」の内容などが焦点となる。
市場では、会談で「日本の為替介入や外貨準備の運用方針、日銀金融政策を含め、総合的な通貨政策の枠組みが議論される」(シティグループ証券チーフFXストラテジストの高島修氏)と警戒する声も漏れる。警戒感の強さゆえに、無風通過となれば円が急反落する可能性もあり、円相場は予断を許さない情勢が続く見通しだ。
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