ダニに噛まれて「肉アレルギー」発症。初の死亡例が確認される

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アレルギーって怖いですよね。私も結構なアレルギー体質なんですが、アレルギーだと知らずにいろいろ食べまくっていたらある日突然アナフィラキシーショックを起こしてぶっ倒れ、ICUに運ばれたことがあります。

いろんな検査をした結果、複数のアレルギーがわかったので、無理しない範囲で避けながら生活しているのですが、そもそもアレルギーを持っているなんて想像もしていなかったので、倒れた理由がわかるまでは怖い思いをしました。

そんなアレルギーですが、これまでならほとんど危険視されてこなかった食べ物が原因で初の死亡例が出たIFLSが伝えました。

男性は肉アレルギーだった

肉によるアレルギー症状で命を落としたのは、47歳の男性。パイロットで健康そのもの、アレルギー歴もありませんでした。

しかし、2024年の夏に家族とキャンプを楽しみ、珍しく牛ステーキを食べたところ、その日の夜中に激しい腹痛と嘔吐に見舞われてしまいました。幸いにして朝になると症状が収まったため、病院には行きませんでした。子どもに「あの時は本当に死ぬかと思ったよ」と言って、一過性のものとして済ませてしまったんですって。

それから2週間が経過し、今度は夕食にハンバーガーを食べました。家に戻りくつろいでいましたが、トイレに向かったところ、そのまま意識を失ってしまったようでした。

救急隊員が駆けつけ、2時間ほど蘇生を試みましたが、午後10時22分に死亡が確定

ハンバーガーを食べた4時間後 に突然倒れそのまま帰らぬ人になってしまったんです。

最初は突然死として扱われましたが、後に専門家チームが血液を分析したところ、重度のアレルギー反応で典型的に上がるトリプターゼが異常なほど高かったことが判明。

どうやら「Alpha-galアレルギー(アルファ ガル アレルギー)」というダニに噛まれて発症する肉アレルギーが原因だったようです。

原因は肉ではなくダニ

死因の鍵を握っていたのは、牛や豚、羊などの哺乳類の肉に含まれるα-gal(アルファガル)でした。

そして、このα-galがアレルギーになるきっかけはダニ。特にアメリカに広く分布するローンスターマダニに噛まれると、ダニの唾液に入っているα-galを体が敵認定して記憶してしまうんです。

しかも、食べてすぐではなく、3〜5時間後。この男性も、食事をとってから数時間後に腹痛や嘔吐に見舞われていましたよね。

ちなみに、男性は、虫に噛まれたことは知っていたそうですが、ブヨだと思っていたらしいのです。しかし、専門家によるとそれはロンスターダニの幼虫の可能性が高いのだそう。

腹痛だけでも危険

アレルギーというと、蕁麻疹が出たり息が苦しくなったり、分かりやすい症状が出るイメージがありませんか。でもアルファ ガル アレルギーは、腹痛だけでもアナフィラキシーに至るケースがあるのだそうです。

男性のように、最初の「激しい腹痛だけ」の発作を見て「肉アレルギーだ」と気づくのはほぼ不可能。これが、この症候群のすごく危険なところです。アレルギーの可能性に気づきにくいから対策も遅れやすい

だから、研究者たちは、肉を食べて数時間後に酷い腹痛があったらアレルギーも疑ってほしい、と訴えています。また、夏場に、虫に刺されて1週間くらいかゆみが続くようならダニの幼虫の可能性もある、ということも。

アメリカでは患者が増えている

米国では最大45万人が影響を受けている可能性があると言われています。

理由はとてもシンプル。鹿が増え、ダニが増え、ダニの住む範囲が北へ北へと広がっているから。

温暖化の影響もあり、ロンスターダニは今後さらに分布を拡大すると見られています。

アメリカには肉が好きな人も多いので、肉アレルギーが流行ったらヒヤヒヤするでしょうね…。

Source: IFLS , JACI IN PRACTICE

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