米司法省、エプスティーン元被告の資料数千点を削除 「身元が特定された」と被害者が訴え

画像提供, Reuters

画像説明, 米司法省は1月30日、性犯罪で有罪とされた富豪ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)に関する文書約300万ページ、画像約18万点、動画約2000点を公開した。画像は、女性と並んで座るエプスティーン元被告

アメリカの司法省は2日、先月末に新たに公開した、性犯罪で有罪とされた富豪ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)に関する資料数百万点のうち数千点をウェブサイトから削除した。公開された資料は、画像の顔が黒塗りされるなどしていた。しかし、編集が不十分で身元が特定されたと、複数の被害者が声を上げていた。

エプスティーン元被告による被害を訴える人々の弁護団は、1月30日に公開された資料にほどこされた編集が不十分で、約100人のサバイバーの生活が「一変」してしまったとしている。

公開された資料には、被害者とみられる人物の名前や顔が特定可能な複数のメールアドレスやヌード画像が含まれていた。

サバイバーたちは声明で、それらの資料の公開は「言語道断」だと批判。自分たちは「名前がさらされ、詮索され、再び傷つけられるべきではない」と訴えた。

司法省は、当該資料をすべて削除したとし、「技術的または人為的エラー」による誤りがあったと説明した。

同省は2日、連邦判事に提出した書簡で、「被害者または弁護人から昨日(1日)夕までに削除要請のあったすべての資料を、さらなる編集のために取り下げた」とした。

また、新たな要請について検討を継続するとともに、ほかにも追加の編集が必要な資料がないか確認中だとした。独自に特定した「相当数」の資料も削除したという。

被害を訴える人々の弁護士2人は1月30日、資料を公開したウェブサイトの削除を司法省に命じるよう、ニューヨークの連邦判事に求めた。資料の公開は「1日の間に起きたものとしては、アメリカ史上最も悪質な被害者のプライバシー侵害」だと、弁護側は主張している。

ブリタニー・ヘンダーソン弁護士とブラッド・エドワーズ弁護士は、司法省が「数千件にわたり被害者の名前や個人識別情報の編集を怠った」ため、「司法の即時介入が必要な緊急事態が発生している」と指摘した。

被害を訴える人の中には、資料の公開は「命に関わる」ことだと訴えたり、私的な銀行情報が公開されたことで殺害予告を受けたと訴えたりする人もいる。

エプスティーン元被告の事件のサバイバーであるアニー・ファーマー氏は3日、「新たに明らかになった情報に目を向けるのが難しいほど、司法省がサバイバーをさらすことで与えた被害は大きい」と、BBCに述べた。

別の被害者のリサ・フィリップス氏は、多くのサバイバーが、今回の情報公開がもたらした「結果に非常に不満を抱いている」と述べた。

「司法省は私たちの三つの要求すべてを破った」と、フィリップス氏は3日、BBC番組「ニュースデイ」に語った、「第一に、多くの文書がまだ公開されていない。第二に、公開期限はとっくに過ぎている。そして第三に、被害者の多くの名前を公開した」。

「司法省は適当にあしらおうとしているようだが、私たちは闘いをやめるつもりはない」と、フィリップス氏は付け加えた。

エプスティーン元被告による被害を訴える人を多く弁護してきた、女性の権利が専門のグロリア・オールレッド弁護士は先に、直近の公開資料で多数の被害者の名前が明らかになったと、BBCに述べていた。これらの被害者の中には、これまで公に特定されていなかった人も含まれるという。

「名前が線で消されているケースもあるが、名前が読み取れる状態だ」と、オールレッド弁護士は指摘した。「公のインタビューに応じたことも、名前を公表したこともない複数のサバイバーが写った画像もあった」。

司法省の報道官は、BBCがアメリカで提携するCBSに対し、同省は「被害者保護を非常に真剣に受け止めており、罪のない人々を守るために数百万ページの中の数千人の被害者の名前を編集してきた」と述べた。

また、同省が「この問題を正すために、昼夜を問わず取り組んでいる」と付け加えた。被害者を特定できる未編集情報が含まれていたのは、「公開された文書のうち0.1%」だったとも説明した。

司法省に資料の公開を義務付ける法律は、ドナルド・トランプ大統領の署名を経て成立した。公開の期限はすでに6週間過ぎている。

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