眠りについたとき脳の活動・エネルギー使用・血流がどのように変化するかが明らかに

サイエンス

マサチューセッツ州に拠点を置く医療研究機関マス・ジェネラル・ブリガムが次世代イメージング技術を用いて、人が眠りに落ちていくときに脳の活動がどのように変化していくか、そしてエネルギーの使用量や血流がどのように変化するかを明らかにしました。

Simultaneous EEG-PET-MRI identifies temporally coupled and spatially structured brain dynamics across wakefulness and NREM sleep | Nature Communications

https://www.nature.com/articles/s41467-025-64414-x

New Research Uncovers How the Brain’s Activity, Energy Use, and Blood Flow Change as People Fall Asleep | Mass General Brigham

https://www.massgeneralbrigham.org/en/about/newsroom/press-releases/research-shows-coordinated-shift-in-brain-activity-while-asleep

人の睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルで成り立っています。このうちノンレム睡眠は、体や脳機能の健康維持や疾患予防などで重要な役割を果たす深い回復段階の睡眠で、「脳の老廃物を除去する」ターンだという研究もありますが、根本的なプロセスや長期的な健康への影響については、まだ十分に理解されていない部分があります。

「睡眠中に脳が老廃物を除去する」という仮説を補強する論文が発表されるも一部の科学者らは批判 - GIGAZINE

マス・ジェネラル・ブリガムの研究者らは、脳の活動をチェックするEEG(脳波検査)と機能的MRI、および血糖値の代謝動態をチェックする機能的PET-FDGを組み合わせた新しい三峰性EEG-PET-MRI技術を用いて、健康な成人23人を対象に、短時間の昼寝のモニタリングを行いました。 すると、睡眠が深まるにつれてエネルギー使用量と代謝が減少する一方で、血流は動的になることが確認されました。特に、脳の中でも活動的な感覚領域では、この傾向は顕著に表れたとのこと。一方で、高次の認知ネットワークは静かに働き、脳脊髄液の流れが増加していました。 脳内の血流が増加したところの色を濃くした図は以下の通り。

グルコース代謝の減少したところを色濃くするとこのようになります。

これらの結果について研究チームは、「睡眠が、覚醒を引き起こす可能性のある感覚的合図に対して感受性を保ちつつ、脳から老廃物を除去するのに役立つ」という考えを裏付けるものだと結論付けています。 今後は、より大規模な集団で多様な集団を対象に含めつつ、より長時間で、より深い睡眠の記録を収集すべきだと考えているとのこと。 また、睡眠の段階を明確に区別するために、より正確な方法を用いることも予定されているとのことです。

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