春闘賃上げ率5.25%、34年ぶり高水準 規模間格差の是正には課題

 連合が3日発表した2025年春闘の最終集計によると、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた平均賃上げ率は5.25%だった。写真は2024年10月、都内で撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 3日 ロイター] - 連合が3日発表した2025年春闘の最終集計によると、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた平均賃上げ率は5.25%となった。前年から0.15ポイント上昇し、1991年(5.66%)以来34年ぶりの高水準となった。ただ、中小の賃上げ率は4.6%にとどまり、規模間格差是正の点では課題も残した。

平均賃上げ率の上昇は4年連続。ベア率も3.70%と前年から加速し、集計を開始した2015年以降で最も高かった。構造的な人手不足やインフレの長期化などが、経営側の意識の変化を促した。連合はベア3%以上、定昇相当分を含めて5%以上の賃上げを目安として掲げており、それを達成した形となる。

傘下労働組合の要求に対する7月1日午前10時時点の企業側回答をまとめた。「平均賃金方式」で回答を引き出した5162組合の賃上げ額は平均で1万6356円、ベアと定昇を明確に区別できる3594組合のベア分は1万1727円だった。

<中小は目標に届かず>

300人未満の中小組合3677組合のベアと定昇を合わせた賃上げ率は4.65%。前年から0.20ポイント上昇し、92年(5.10%)以来の高水準となった。ベアと定昇を明確に区別できる中小2285組合のベア分は9468円、べア率は3.49%だった。

連合は企業規模間の格差是正を目指し中小の賃上げ率6%以上を目標に掲げていたが、結果は5%にも届かなかった。仁平章・総合政策推進局長はこの日の説明会で「格差拡大に歯止めをかけるには至らなかった」と評価した。

仁平氏は、中小の賃上げが伸び悩んだ要因を「トランプ関税の影響というよりも、価格転嫁や適正取引ができたところとできなかったところの差が大きかった。物価高による内需の低迷も影響した」と分析。多くの人が生活向上を実感できる賃上げが今後大きなテーマになると指摘し、来年に向けては米国の関税措置の影響についても冷静に見極めていく必要があると述べた。

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