【世界にとって悪夢】トランプ退任後の米露関係と世界を見据えるプーチン…2027年、ロシア軍とNATO軍の軍事衝突で起こるシナリオ(Wedge(ウェッジ))

 元ロシア専門安全保障上級分析官のAndrea Kendall-Taylorが、5月20日付けニューヨーク・タイムズ紙掲載の論説‘The War in Ukraine Is Not as Far Away as Trump Thinks’で、ウクライナ戦争は欧州の戦争であるとしてこれから距離を置こうとするトランプ政権に対し、その終結の仕方は米国民にとって重要な意味をもつとして、この問題にいま対処しなければ、米国は将来もっと大きな代償を払うことになる、と警鐘を鳴らしている。要旨は次の通り。  トランプ政権は、ゼレンスキー大統領とプーチン大統領の双方に苛立ちを募らせている。政権関係者は仲介を放棄すると脅しているが、これは、ウクライナ紛争は根本的にヨーロッパの戦争であるとの前提に立っている。  しかし、戦争はトランプ大統領が考えているほど遠いものではなく、その終結の仕方は米国民にとり重要な意味を持つ。プーチンの長期的な目標は明らかにウクライナ問題にとどまらず、冷戦後のヨーロッパ秩序の再構築を目指している。彼は、ロシアの力とモスクワが世界の動向を左右する能力を回復できると考えている。  プーチンの考えはゼロサムゲームだ。彼は、ロシアの世界的な影響力を高めるには、米国の影響力を弱めるしかないと考えている。  トランプ政権は選択を迫られている。今、ウクライナでクレムリンに立ち向かうのか、それとも後日なのか。しかし、米国にとり待つことのコストは高まるばかりだ。  モスクワはすでに、将来のヨーロッパ紛争の土壌を整えている。ロシアは、破壊工作、移民の武器化、暗殺計画を著しく強化している。  バルト海の主要な海底ケーブルを含む重要インフラへのサイバー攻撃やその他の標的型攻撃を行った疑いもある。これらの戦術の目的は、ロシアに対抗する欧州の能力を低下させ、クレムリンに対抗するのは困難でコストがかかりすぎると欧州諸国に思い込ませることだ。  同時に、トランプ政権は、欧州(特に東欧)の安全保障における米国の役割を縮小することを望んでいると繰り返し示唆している。これは北大西洋条約機構(NATO)の東翼諸国を脆弱な立場に置く可能性がある。欧州諸国は軍事費を急速に増加させているが、能力増強には時間がかかるだろう。  欧州で再び大規模な紛争が勃発した場合、米国は無傷では済まないだろう。欧州と米国の経済は深く結びついている。欧州は米国にとって最大の貿易相手であり、米国製品の最大の市場であり、米国の力を倍増させる力を持つ。

Wedge(ウェッジ)
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