恋人やパートナーと別れたときに見られる典型的な3つの反応(Forbes JAPAN)

愛する人と何年もかけて人生を築き上げてきたのに、それが不意に崩れ去ってしまったら、世界から残酷な仕打ちを受けたような気持ちになるかもしれない。こうした別れに直面した人には、さまざまな反応が混ざり合って生じる──無気力になったり、理性を失ったり、ときには強い怒りを感じたりするのだ。 こうした反応は、どれも非常に個人的なものだが、同時に、元をたどれば人類の進化に端を発している。具体的には、生殖本能や防衛本能、生存本能といった原始的ニーズのことだ。 2025年1月に『Evolutionary Psychology』で発表された研究は、胸を締め付けるどうしようもない悲しみから、新しい自分に生まれ変わりたいという衝動まで、別れの後の反応を理解するための新たな視点を私たちに与えてくれる。 同研究によると、愛する人と別れたときの反応は、大まかに3つのカテゴリーに分類され、各カテゴリーにはサブタイプとして異なる発現が含まれている。人は一般的に、このサブタイプのうちの4つから9つを一度に体験するという。 以下では、3つのカテゴリーと、こうした反応を進化の観点から解明したらどういう意味を持つのかについて、詳しく説明していこう。

■1. 悲しみと落ち込み ほとんどの人は、恋人やパートナーと別れた直後に、どうしようもない悲しみに襲われる。2人で過ごした最後のひと時を、毎晩のように頭のなかで何度も再現しては、「いったいどこで間違えたのか」と必死になって考える人もいるだろう。手がかりを求めて、相手のソーシャルメディアを徹底チェックする人もいる。こうした感情はおなじみだ、という人もいるかもしれないが、研究では、こうした状況はごく自然なものであることが示されている。 『Evolutionary Psychology』で発表された研究によると、「恋人やパートナーと別れたあと、強い悲しみを覚えたり、ひどく落ち込んだりする」と答えた人は92%に上った。進化の観点から見ると、このような感情的崩壊は、パートナーを失ったことによる多大な苦痛の表れだ。 人類の祖先にとって、他者と真剣な関係を築くことは、単なる恋愛ではなく、非常に重要な生存手段だった。パートナーがいることは、食料などを共有でき、互いに保護し合い、生殖の可能性を高めることを意味した。 私たちは現代社会に生きており、祖先のような脅威にさらされることはないかもしれない。しかし、それでもなお人類のDNAには、パートナーとの別れを、「適応度」(つまりは生存や繁殖の可能性)が下がる状況とみなすよう、刷り込まれている。そして、その影響がいくつかの形で発現する場合があることが、同研究では示されている。 ■相手の気持ちを変えようとする 多くの人は、仲直りしてよりを戻せるかもしれない、という希望に、ついすがってしまう。そうやって相手の気持ちを変えようと努力する背景には、親密なパートナーを失うのは、安全やリソース共有といった相互利益を失うことと同じだと、無意識のうちに感じていることがあるかもしれない。言い換えれば、パートナーがいてくれれば、進化論的な適応度が上がり、優位さを拡大できる、と感じられるわけだ。 ■理由を探る 別れた後の反応として2番目に多いのがこの行動だ。研究によると、別れを体験した人の85%は、説明を求め、関係を終わりに導いた原因を理解しようとする。この行動は、将来的にほかの人と関係を結ぶために、過去を学び直し、修正するための心的な戦略と考えられる。これはひとつの適応機制であり、生殖や生存の確率低下につながり得る原因を分析するよう、私たちに促す働きだ。 ■別れた相手をこっそり調査する 多くの人は、別れたあとでも元パートナーの人生について知ろうとする。スパイのように相手の言動をこっそり調べたりするのは、相手が「もっといい相手」(適応度がもっと高いパートナー)を見つけたのかどうかを探る最大の手段のひとつだ。生存に影響を及ぼす配偶者選択の力関係において、自分がどの立ち位置にいるのかを評価する方法なのだ。 ■専門家の助けを求める 現代的なやり方に思えるかもしれないが、セラピストや信頼できる友人に相談するという傾向は、喪失感に見舞われたときに社会的なサポートを必要とする、人間の根本的欲求と結び付いている。進化の観点から見ると、他の人に助けを求めれば、協力関係が生まれ、周囲の支えに慰めを見出せる。ひいては、パートナーを失ったことで生じたストレスに対処しやすくなる。 このような進化論をもとにした説明は、科学的に筋が通っているものだが、パートナーとの別れで感じる悲しみは、それだけでは説明できない。感覚が麻痺したような状態で目覚める日もあれば、思い出の重みに耐えきれない朝もある。感情が激しく変化するせいで、疑問を抱いたり、泣いたり、笑ったり、思い出がよみがえったりすることが一気に起こる。 心はコンピューターではない。悲しみで混乱したり押しつぶされそうになったりするのは、ごく普通のことなのだ。

Forbes JAPAN
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