4.2光年先の恒星系からの信号か?スーパーアースも存在…と思いきや、正体は地球の壊れた電子機器かも(スペースチャンネル)

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出典:スペースチャンネル(AI)

2019年、最も地球に近い恒星系「プロキシマ・ケンタウリ」から届いた謎の電波が、「地球外知的生命からのメッセージかもしれない」と注目を集めました。しかし、最新の研究によりその正体は――“地球製の壊れた電子機器”の可能性が高かったようです。

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■一時は「史上最高レベルの有力信号」とされたBLC1

プロキシマ・ケンタウリdの想像図 出典:ESO

2019年、オーストラリアのパークス電波望遠鏡がキャッチしたのは、982MHz帯という非常に狭い周波数の電波。これは人間の航空機や衛星ではほとんど使われない帯域で、「地球外文明による発信の可能性がある」として注目されました。

この信号「BLC1」は、約5時間にわたって継続して観測され、しかも“宇宙のどこか”からやってきたように見えました。地球に最も近い恒星、プロキシマ・ケンタウリ(約4.2光年先)から届いたものとして、世界中のSETI(地球外知的生命探査)研究者が色めき立ちました。

実は、この恒星系には「スーパーアース」と呼ばれる、地球の約1.3倍の質量を持つ系外惑星が存在しているのです。そして、この惑星が特に注目される理由は、ハビタブルゾーン(液体の水が存在できる領域)内に位置しているため、地表に海や大気が存在する可能性があり、太陽系から最も近いスーパーアースとして知られています。

■原因は“地球の壊れたコンピューター”?

オシロスコープ 出典:Gdirwin

ところがその後、同じ星系を何度スキャンしてもBLC1の再出現はなし。異常を感じた研究チームは、改めてデータを再分析。すると、BLC1とそっくりな信号が周波数違いで複数発見されました。しかもそれらは望遠鏡を星から「外しているとき」にも出現していたのです。

これはつまり――「発信源は宇宙ではなく、地球内部だった」ことを意味します。

研究を主導したカリフォルニア大学バークレー校のソフィア・シェイク博士によれば、BLC1のような信号は「電子機器に使われるオシレーター(発振器)でよく見られる周波数の倍数」で構成されており、地元のどこかの故障したPCやスマホなどが原因だった可能性が高いとのこと。もしかすると壊れていた電子機器が、その後修理・撤去され、信号が再現されなかったのではと推測されています。

■「これは科学にとって重要な“練習問題”だった」

ALMA電波望遠鏡 出典:ESO

たとえ宇宙人からのメッセージでなかったとしても、研究者たちはこの事件を前向きに評価しています。こういった“ニセモノ”を見極める練習ができたのは非常に大きいく、今後本当に地球外文明からの信号が現れたときに備える貴重な経験になるといいます。

今後もプロキシマ・ケンタウリを含む多数の恒星をモニタリングしていく予定。現在構築中のMeerKAT(南アフリカ)やVLA(アメリカ)といった新しい望遠鏡が稼働すれば、観測対象は年間で数百万の星にまで広がります。

今回の“宇宙からの信号騒動”は、結局のところ地球の電子機器の不具合によるノイズの可能性が高いという結論で終わりました。しかし、これによってSETIプロジェクトのデータ分析技術や、疑わしい信号への対応能力は確実に進化しています。皆さんは地球外生命体探査の是非についてどのようにお考えになりますか?コメントお待ちしています。

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