系外惑星K2-18bに「生命の兆候」を検出 これまでで最も有望

赤色矮星を周回する、水素に富んだ大気の下に液体の水の海を持つ太陽系外惑星のイラスト/A. Smith, N. Madhusudhan/University of Cambridge/Reuters

(CNN) 太陽系外惑星「K2―18b」にこれまでで最も有望と思われる生命の兆候が検出された。17日にアストロフィジカル・ジャーナル・レターズ誌に掲載された論文で明らかになった。ただし、研究著者をはじめとする専門家らの見方は慎重で、地球外生命の決定的な発見とは断言していない。

研究チームはジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を用いて、K2―18bの大気中にジメチルスルフィド(DMS)とジメチルジスルフィド(DMDS)の存在を示唆する化学的な痕跡を検出した。地球上では、これらの分子はいずれも微生物、特に海洋植物プランクトンによってのみ生成される。

地球から124光年離れたK2―18bは、「ハイセアン惑星」である可能性がある。ケンブリッジ大学天文学研究所の天体物理学および太陽系外惑星科学教授で、研究の筆頭著者であるニック・マドゥスダン氏によると、ハイセアン惑星とは、水素に富む大気を持ち、全体が液体の水で覆われた、居住可能性のある惑星を指す。

マドゥスダン氏らはK2―18bに液体の水の海が存在する可能性があると判断したうえで、2021年にハイセアン惑星の概念を初めて理論化した。

ジェームズ・ウェッブ望遠鏡による検出

検出された分子は、生命を必要としない、惑星上の別の未知の化学反応によって生成された可能性もある。

今回の発見は、同じ天文学者グループが以前に行った研究に基づいている。研究者らは当時、ジェームズ・ウェッブ望遠鏡の近赤外線イメージング装置などを用いて、惑星の大気中に二酸化炭素とメタンを検出した。今回は中赤外線装置を用いたという。

ジェームズ・ウェッブ望遠鏡の近赤外線イメージング装置などから以前得られたK2―18bのデータでは、太陽系外惑星の大気中にメタンと二酸化炭素が豊富に存在することと、ジメチルスルフィドが検出された可能性があることが示されている/NASA, ESA, CSA, Ralf Crawford (STScI), Joseph Olmsted (STScI)

しかし、マドゥスダン氏と共著者らは、別の惑星に生命が存在するという直接的な証拠を主張するには、より多くのデータが必要であることを認めている。同氏らは、ジェームズ・ウェッブ望遠鏡を用いた16~24時間の追跡観測によってそれが可能になると考えている。

一方で他の専門家は、今回の結果に期待を寄せながらも、地球外生命の存在を立証し、さらにK2―18bの種類を特定するには、はるかに多くの時間とデータが必要だとみている。

マサチューセッツ工科大学で物理学や惑星科学などの教授を務める天体物理学者サラ・シーガー氏は、この惑星自体について全く異なる解釈をしているチームが複数あると述べた。同氏は今回の研究に関与していない。

「ハイセアン説を唱える人もいれば、高温のマグマの海を持つ天体とする人もいる。これは水素を豊富に含む大気の下に溶岩を持つ惑星で居住可能性が低い環境を意味する。小規模な海王星とみなす人さえいる」とシーガー氏は指摘する。

シーガー氏は、生命の痕跡の可能性を示唆する今回の発見について、いつまでも可能性にとどまるとの見方を示している。

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