5カ月を切った!Windows 10サポート終了への道程、PC市場の現状を調べた
2025年10月14日のWindows 10サポート終了(Win10 EOS)まで5カ月を切った。5年前の19年と20年は、Win7 EOSをきっかけにPCの出荷台数は跳ね上がった。今年も同じような状況が発生するだろう。 【写真ギャラリー】 Win10からWin11へ無償アップデートは可能だ。しかし、PCがシステム要件を満たしていない場合、買い替えが必要になる。そのまま使っているとセキュリティー上、脅威にさらされたり、アプリ(ソフトウェア)をバージョンアップできず、使えなくなったりする。 そこで、18年以降の出荷動向を振り返りつつ、現在の状況をみる。また、PCの買い替え状況や平均単価の変化についてもみていく。 ●PCの出荷台数の遷移 電子情報技術産業協会(JEITA)によると、24年のPC出荷台数は762万台に達した。前年から100万台近く積み上げており、その主な要因は、法人市場において、Win10 EOSに備えたリプレース需要が発生したためだ。 一方、個人市場では、10月14日のWin10 EOSのぎりぎりまで買い替え需要が続くと考えられる。そのため25年の出荷台数は、24年を上回る水準に達するだろう。 過去を振り返ると、Win7 EOSを控えた19年は974万台、20年も1046万台と高い水準に達した。さらに20年は、Win7 EOS後のコロナ禍の影響もあった。リモートワークやオンライン会議・授業が一気に普及し、需要は高止まりして出荷が上振れした。 ●PCの買い替え状況は? 次に内閣府の消費動向調査を参考に、PCの買い替え状況を紐解いてみる。なお、この買い替え状況は総世帯の数値を使用している。 18~25年にかけて「故障」が4~6割と高い比率を占めている。しかし、20年は「その他」が43.1%に達した。これはWin7 EOSにより買い替え需要が発生したためだ。 今回のWin10 EOSにおいても、同様の傾向があらわれることは想像に難くない。26年に発表される買い替え状況においても、「その他」の比率が高くなるだろう。また、PCの平均使用年数は6~7年で推移していることも読み取れる。 ●PCの平均単価の推移 最後に家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」を用い、PCをデスクトップとノートに分けて平均単価を算出した。 まず、デスクトップの平均単価は、18年に11万1100円。年々上昇し、24年には14万9100円に達した。6年で実に34.2%も上昇した計算だ。また、ノートも同様に上昇しており、18年の9万8000円から24年には12万1700円。こちらも6年で24.2%上昇した。 こうした平均単価の上昇は、為替レートの変動(円安)によるところが大きい。そうした状況にプラスして、PCメーカーはAI対応のPCを発売しており、平均単価上昇に拍車がかかっていることも否めない。 ちなみにWindowsのノートPCにおけるAI PCの販売比率は、25年5月は16.0%と徐々に増加している。 25年10月のWin10 EOSまで、PC需要と平均単価の上昇は続くと思われる。加えて、現状は関税の動向も不安要素の一つに挙げられる。EOS後の需要は、反動減による前年割れで推移する厳しい状況に陥るだろう。(BCN総研・森英二) *「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。