「テレワークじゃ仕事にならない」はウソ…最新研究が明らかにした「部下に出社を迫る古い上司」の大誤解(プレジデントオンライン)

■チームワークに影響を与える2つの要素  その答えの1つとして、私たちの研究はバーチャルチームにはプラスとマイナスの両面があり、これらが相殺しあう可能性を指摘しています。  ここまではバーチャルチーム度合い(チーム・バーチャリティ)を単一の概念として見てきました。しかし、この中を大別すると2つの要素があります。※15  ①地理的分散と②テクノロジー利用です。  そして、この2つは逆向きの効果を持つのです。 ---------- ① 地理的分散 メンバー同士が地理的に離れて働く度合いを指します。メンバー全員が在宅勤務のチームは、地理的分散が非常に高いチームです。もしくは、営業職でオフィスの外に出ることが多い場合や、同じオフィスでも主な作業場所が別々の部屋となっている場合には、出社勤務中心でも地理的分散が高いチームだといえるでしょう。 最近はフリーアドレスと呼ばれる、固定席ではなく、ノートパソコンなどを持ち運びながら自由な席で働くオフィススタイルも増えています。これも固定席よりはやや地理的分散が高いといえます。 以上のような地理的分散はチームワークにマイナスの影響があります。 ② テクノロジー利用 これはパソコンやスマホなどの情報通信技術(ICT)を利用して、メンバー同士がコミュニケーションや連携を行っている程度のことを指します。たとえば、チャットでの意見交換、オンライン会議システムを通じたミーティング実施がテクノロジー利用になります。これはチームワークにプラスの影響があります。 ----------  つまり、①地理的分散はマイナス影響、②テクノロジー利用はプラス影響となっていました。  これらのプラスとマイナスが相互に相殺し合い、全体としてはテレワークがチームワークに特に影響を及ぼさないという結果になりました。  もともとICTはコミュニケーションを促進するためのツールです。ICTツールをしっかりと活用することで、直接顔を合わせずとも、高いレベルのチームワークを発揮できるようにしていくことが求められます。  ※15 Gibson & Gibbs(2006); Gibson et al.(2014) ■バーチャルチームこそ信じて、ゆだねることが大事  バーチャルチームでは特に信頼がチームワークの発揮に大きな役割を担うことが指摘されてきました。※16  信頼とは、自分の弱い部分も含めて相手にゆだねてもいいと感じられることを指します。  「この人には私のことを任せても大丈夫」と感じられる。そんな信頼できる相手であれば、困難な局面でも協力しあうことができます。一方で、「この人には任せられない」ような信頼の欠けた相手と協力し合うのは難しいでしょう  そもそもチームメンバー間で信頼を構築することは、バーチャルや対面にかかわらず、チームワークでは重要な役割を担っています。※17  つまり、信頼はチームワークやチーム成果を高めるものです。  そして、この信頼がチームワークやチーム成果を高める影響の強さが、対面チームと比べてバーチャルチームではより一層強くなることがメタ分析から示されています。※18  バーチャルチームであればこそ、チーム信頼の構築が特に重要となるのです。  バーチャルチームでは、各メンバー同士が普段直接は顔を突き合わせることなく、仕事の大半を行っていきます。だからこそ、お互いの技能や仕事へのコミットメントを信じ、ゆだねてたくす信頼が必要となるのです。  ※16 Breuer, et al.(2016); Hacker et al.(2019); Swart et al.(2022) ※17 De Jong, Dirks, & Gillespie(2016) ※18 Breuer et al.(2016)

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