Switch 2は“株価のために”値上げすべきか 逆ザヤ3DSが残した教訓とは #エキスパートトピ
任天堂はSwitch 2の値上げを発表すべきとの声が、経済メディアや一部投資家から挙がっています。日本株全体が盛り上がるなか、同社の株価は低迷を続けており、利益率を改善することが回復の近道だという見方です。
しかし、任天堂の売上高は前年同期比でほぼ倍増しており(2月時点)、マリオ映画やSwitch 2専用ゲーム『ぽこポケ』も大ヒット。財務状況も極めて健全です。
にもかかわらず、投資家が「不安」を抱いているのは、やや理解しがたい部分もあります。果たしてSwitch 2は、本当に値上げすべきなのでしょうか。
ココがポイント
スイッチ2本体の価格だ。コスト上昇に対処し、投資家の不安を鎮めるには、8日の決算発表時に値上げを明らかにせざるを得ない出典:Bloomberg 2026/5/7(木)
「値下げを決断できた理由は、ゲームキューブの教訓」 3DSハードは逆ざやで赤字に出典:ITmedia News 2011/8/1(月)
Nintendo Switch 2になり任天堂ゲームが値上げ。8000~9000円級に出典:AUTOMATON 2025/4/3(木)
任天堂、なぜ絶好調なのに株価下落?「Switch 2を売るほど赤字」と「生成AIの脅威」を読み解く出典:多根清史 2026/2/5(木)
エキスパートの補足・見解
いまの任天堂の状況は「儲かっているが、もっと儲かるはずだと思われていた」というものです。米ハイテク大手でも「期待が高すぎた結果、実績が伴っていても下げる」ことは珍しくありません。
「任天堂はハードで利益を出す」とよく言われますが、その例外が3DSです。WiiやDSの大ヒットから一転し、3DSは販売不振に陥りました。そこでテコ入れとして大幅値下げしたところ、逆ザヤ状態が続き、事業構造レベルの危機に見舞われていました。
それでも『とびだせ どうぶつの森』などの新作投入により勢いを取り戻し、3DSファミリーの全世界販売台数は7500万台超に到達。そのユーザーベースが、初代Switchの成功にも繋がったとみられます。
ライフサイクル終盤にあるPS5と違い、Switch 2はまだ普及途上です。そのため、本体価格の値上げは普及ペースへの悪影響が大きい可能性もあります。
一方で任天堂は、ゲームや周辺機器を値上げしており、利益率に無頓着なわけではありません。経営的に大きな不安がない状況で本体価格の値上げを急かすのは、目先の株価を意識しすぎているように見えます。
とはいえ、最終的に任天堂はどう判断するのか、見守りたいところです。
京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、マグミクスで記事を執筆中。