EV充電がほぼ不要になる? 日産、ソーラーパネルで年間3000km走れる太陽光発電プロジェクト進行中
1955年、ゼネラルモーターズのエンジニアであるウィリアム・G・コブ氏が、セレン光電池で駆動する全長15インチの模型車『サンモービル』を発表した。それ以来、太陽光でクルマを走らせるというアイデアへの関心は絶えることなく続いている。 【写真】ソーラーパネル展開で発電量アップ! 日差しを遮るサンシェードにも【Ao-Solar Extenderを搭載した日産サクラを詳しく見る】 (35枚) 日産は今年初め、国際デー「クリーンエネルギーデー」を記念し、ソーラーパネルを搭載した『アリア』を公開した。晴天時の実地テストでは、航続距離が最大23km延長されたという。 日差しの強いスペイン・バルセロナでは、太陽光により1日平均17.6kmを走行できると試算されている。年間平均の航続距離は、英国ロンドンで1日当たり10.2km、インド・ニューデリーで18.9km、UAEドバイで21.2kmと推定されており、状況によっては充電器での充電頻度を35%〜65%削減できると見込まれている。 オランダとスペイン間の1550kmの走行を含む長距離テストを経て、日産の開発陣は、ソーラーシステムの導入により、通勤利用者の年間充電ステーション利用回数を23回から8回に削減できるとの結論に至った。 アリアのプロジェクトは、日産とオランダのソーラーモビリティ企業ライトイヤーとの共同事業である。ライトイヤーの次世代技術が、アリアの車体外装3.8平方メートルを覆う特注のポリマーおよびガラスパネルに採用されているのだ。
日産が進めている太陽光発電プロジェクトはアリアだけではない。昨年10月のジャパンモビリティショー2025では、軽EV『サクラ』のルーフに搭載された独創的な太陽光発電システム「Ao-Solar Extender(あおぞら エクステンダー)」が披露された。駐車時には自動的に前方へとスライドして展開し、発電量を増やす。 展開されたパネルはフロントガラスのサンシェードとしても機能し、暑い日の車内温度上昇を抑えるのに役立つ。損傷を防ぐため、走行時や強風の際には格納される。伸縮部分の固定ハウジングもソーラーパネルで覆われているため、日中は常に発電が可能だ。 総発電量は気象条件にもよるが最大約500W。格納時には空気抵抗を最小限に抑え、サクラのスタイリングに溶け込むよう設計されている。 試算では、年間約3000km走行するのに十分な発電量があるという。サクラのオーナーの利用方法を分析したところ、買い物や子供の送迎など比較的短距離の走行が多かった。この点から、一定数のオーナーにとって、外部からの充電がほぼ不要になる可能性があると考えられている。 これは、単なる奇抜なコンセプトではない。日産は、将来的に「Ao-Solar Extender」の量産化を検討している。太陽光だけで走るEVが身近になる日も、そう遠くないかもしれない。
ジェシ・クロス(執筆) 林汰久也(翻訳)