木更津市がナイジェリア移民を受け入れる? アフリカ・ホームタウン構想で起きたSNSの誤解騒動とは #エキスパートトピ
独立行政法人国際協力機構(JICA)が8月21日、第9回アフリカ開発会議にて愛媛県今治市、千葉県木更津市、新潟県三条市、山形県長井市が「JICAアフリカ・ホームタウン構想」におけるホームタウンに認定されたと発表しました。
しかし翌22日、ナイジェリア政府が「日本政府はナイジェリアの若者向けに特別なビザカテゴリーを創設して木更津市に移住可能になる」と発表。これを受けてか、英BBCも23日に「ホームタウンビザの申請が可能になる」と報じ、Xを中心に「移民を受け入れるのか」と大騒ぎとなりました。
ココがポイント
benefit from the special dispensation visa to work in Japan.出典:The Statehouse, Abuja 2025/8/22(金)
移住・移民の受け入れやナイジェリア国における特別就労ビザ等の発給要件の緩和措置など(中略)本市から何ら要請した事実はなく出典:木更津市 2025/8/25(月)
山形県長井市がタンザニアの国の一部になると誤解を与えるような記載や、移民の受け入れ促進(中略)いずれも事実に反します出典:JICA 2025/8/25(月)
4つの自治体を「ホームタウン」に認定したことに関連して(中略)誤解に基づいた情報が広がっています出典:NHK 2025/8/25(月)
エキスパートの補足・見解
この件についてはJICAが「事実に反します」と否定を発表しているほか、木更津市、三条市、長井市が自治体サイトで否定、NHKも「誤解が広がっている」と報じているため、誤解であろうとは思われます。
一方、問題は、ナイジェリア政府が自国のサイトでこのことを事実として発表している点です。
海外メディアはこれを信じて報じたわけですし、いま声をあげている人たちもそれらの報道を信頼できる情報として受け取っているわけですから、一概に「誤解だ」と断じるのも適切とは言えません。
いまJICAがやるべきことは、ナイジェリア政府の誤解を解くとともに、「なぜそのような受け取られ方になってしまったのか?」を検証し、それを発表することでしょう。
当事者の片方が「誤解だ」と訂正しても、もう片方(それも政府)が「事実です」と主張しているのであれば、“誤解”が広がるのは止められません。今回の件はナイジェリア政府側が訂正して、初めて「誤解だ」と言えるものだと考えます。
1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は [email protected] まで