仏軍参謀総長、ドイツとの次期主力戦車開発が失敗に終わったと認める

ドイツとフランスは次期主力戦車(MGCS)計画について「単一の車体を使用する」と約束していたものの、ドイツは2026年7月「車体に依存しない技術を開発する」と発表し、独メディアも「もはや当初構想の断片しか残っていない」と指摘していたが、フランス軍参謀総長も8日「MGCS計画が失敗に終わった」と認めた。

参考:French top general acknowledges joint tank program with Germany has failed

ドイツのメルツ首相、ピストリウス国防相、ヴァーデフール外相、フランスのマクロン大統領、ヴォートラン国防相、バロー外相は2026年7月にネルヴェニヒ空軍基地で独仏防衛・安全保障理事会を開催し、ドイツ国防省は発表したプレスリリースの中で「戦略核協力の一環としてドイツ軍が秋に行われるフランスでの演習に参加する」「次世代戦闘機、無人システム、様々なセンサー、指揮統制システムとの情報供給や相互作用を強化する戦闘クラウド=SoSのネットワーク開発で協力する」「次期主力戦車(MGCS)計画の枠組みの中で主力戦車や有人・無人装甲車両が連携するためのプラットフォームに依存しない技術を開発する」と発表。

エリゼ宮も会談結果のプレスリリースを発表しているが、ドイツ国防省が発表したプレスリリースの方がMGCSについて踏み込んだ表現を行っており、ドイツのディフェンスメディア=hartpunktは「ドイツとフランスはMGCSの基本開発構想を放棄した」「MGCSは共通の車体をベースとしたネットワーク型の戦闘プラットフォームを共同開発する予定だったが、現在はプラットフォームに依存しない技術のみに言及しており、FCASと同様に両国は地上戦分野でも異なる道を歩み始めている」と指摘。

“MGCSの動向を注視していた専門家らの間では公然の事実として「両国の協力関係が円滑とは言えない状況」と見なされてきた。両国がMGCS導入までのギャップを埋める新型戦車開発の意思を公然と示したことで、2024年4月に署名された形でのMGCS計画をこれ以上維持するのは不可能だと確実視していた。6月にFCAS計画の有人戦闘機開発を中止すると発表したことで「MGCS計画も終わった」という声が増えていた”

“MGCSの当初構想と今回会談後に発表された計画を比較すると当初構想の断片しか残っていない。この残骸を引き続き「Main Ground Combat System」と呼ぶことは事情に通じたあらゆる人々の知性を侮辱するに等しい。ベルリンとパリが公言しなくてもドイツ国防省の声明通りまで計画が縮小されるなら「共同開発」という基本構想は葬り去られたことを意味する。今後、MGCSの残骸がどのように呼称されようとも、ドイツ軍の機甲部隊にとっては前向きな進展となるはずだ。我々はフランス側の要求に配慮することなく自国が将来性があると見なすシステムの開発を推し進める機会を得たからだ”

POLITICO Europeは8日「フランス軍のファビアン・マンドン参謀総長が木曜日、来年度予算に関する公聴会で『結果は芳しくない。我々はドイツと協力して次世代戦車を開発することを期待していたが、残念ながらドイツが計画から撤退したことを認めざるを得ない』と述べ、仏独共同の次世代戦車開発計画が失敗に終わったことを認めた」と報じ、MGCSもFCASと同じように空中分解した格好だ。

出典:Rheinmetall

ちなみにドイツ連邦カルテル庁は2025年12月「ラインメタルとKNDS Deutschland(実質的にはKMW)の合弁事業拡大を承認した」と発表し、これを端的にいうと「両社はプーマ事業のためPSM Projekt System&Management GmbHを設立済みだが、このPSMの事業を『次期主力戦車の暫定的な解決策開発』に拡張する」という意味で、ドイツ連邦カルテル庁もプレスリリースの中で「PSMの枠組みは新型主力戦車の開発・納入契約にも活用される」「この新型戦車はドイツとフランスが共同開発する新型戦車が2045年に納入されるまでの暫定的な解決策となる」と言及している。

hartpunktも当時「ドイツ軍は2030年代初頭に現在の脅威レベルに適応し、Leopard2A8よりも近代的で追加能力を備えた主力戦車が必要になると言及してきた」「この新型戦車はMGCSまでのブリッジ・ソリューションとして機能することを目指し、運用期間は約25年を想定している」「この新型戦車で旧式のLeopard2を置き換えると予想されている」と報じていた。

出典:AIRBUS

フランスのヴォートラン国防相も2026年4月「現行のルクレールは2040年まで運用可能だが、MGCSプロジェクトは約10年かかる見込みで暫定的な戦車が必要になるだろう。現時点で暫定的な戦車の取得はまだ決定されていないが、KNDS DeutschlandかKNDS Franceのプラットフォームを基盤とし、フランス設計の砲塔を搭載したものになるだろう」と言及し、マンドン参謀総長がMGCSの失敗を認める伏線は十分あったため驚きはないものの、この結果は政治的、外交的、軍事的、産業的、そして安全保障環境の大幅な変化が相互作用したものなので「何が悪かったのか」を一言で表すのは困難だ。

結局のところ「欧州が安全保障上のリスクに直面すると予想される時期にMGCSの量産車両は全く間に合う見込みがない」「FCASとMGCSの産業協力は密接にリンクしていた」「欧州の再軍備計画による新型戦車の需要増で単独開発でもビジネス上の機会が見込めるようになった」となり、特にドイツは莫大な資金を国防分野に投資する見込みなので共同開発によるコスト分担の必要性が大きく低下し、本音で言えば「資金や需要に困らなくなったため調整に時間のかかる共同開発より、自国のニーズのみを反映させて素早く新型戦車を実用化し、地上戦分野のプラットフォームにおける主導権を単独で握りたい」といったところだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Nexter

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