サウジアラビア「サンゴの減少、3Dプリンターで解決できる!」

Photo: ヤマダユウス型

テックが救う、海の事情。

万博のサウジアラビアパビリオンは、数ある海外パビリオンの中でも特に人気のスポット。なんといっても外観のカッコよさよ!

Photo: ヤマダユウス型

本国から取り寄せた石材で作られた、迷路のような外壁。日本にいながらにしてアラビア半島の息吹を感じられるのも、万博の魅力ですねぇ。

Photo: ヤマダユウス型

各部屋の移動すらワクワクします。こりゃあ人気パビリオンになるのも納得だわ…歩いてるだけで楽しい…。

Photo: ヤマダユウス型

その一角に展示されていたのが、「3Dプリンティングによるサンゴ作り」という展示。え、3Dプリンターでサンゴを作ってるの? サウジアラビアが

サンゴの減少をテクノロジーで食い止める

サウジアラビアに面する紅海は、世界でもユニークなサンゴ礁の一つとして知られています。しかし、温暖化や気候変動の影響で、世界中のサンゴが減少・あるいは白化(サンゴの骨格が透けてしまう減少)しているのはご存知の通り。紅海も例外ではありません。

Photo: ヤマダユウス型

そこで、サンゴを救う方法としてキング・アブドゥッラー科学技術大学が2021年に考案したのが、3Dプリンターによるサンゴ作り

天然のサンゴは複雑かつ多孔質な形状をしていますが、自由度の高い3Dプリンターはサンゴの造形を模すのに最適なツールだったわけです。プリントの素材にはCCP(炭酸カルシウム光重合)インクという海洋生物に対して無毒な素材を開発し、海への影響も考慮。

Photo: ヤマダユウス型

手法としては、紅海に生息する天然のサンゴを採取し、3Dスキャン。CCPインクで3Dプリントしたサンゴと採取したサンゴに取り付けて、培養槽で管理します。繁殖可能なサイズまで成長したら、管理のためのマイクロチップを取り付けて必要な場所にサンゴを定着させる、という流れです。定着場所を選べるのもこの方法の利点ですね。

日本の近海にも、3Dサンゴがやってくる

サウジアラビアのパビリオンでは、毎日3Dサンゴがプリントされています。万博終了までには、332点もの3Dサンゴを完成させる予定。

そして、ここで作られたサンゴは日本に寄贈されるとのこと。

Photo: ヤマダユウス型

万博終了後、壁面に展示されている多数の3Dサンゴは日本のサンゴ礁回復事業に寄付すると、キング・アブドゥッラー科学技術大学のタッド・トラスコット教授は回答しています。

3Dプリンターでサンゴ回復だなんて、これ以上ないほどテッキーなアプローチ。「どうしてサウジアラビアがサンゴを?」と不思議に思っていましたが、その高い志に脱帽です!

Photo: ヤマダユウス型

お土産コーナーには、ミニサイズの3Dサンゴも置いてありました。この小さなサンゴが、約8,500km離れた日本と紅海をつなぐだなんて、ロマンの塊じゃあないですか。

関連記事: