「見切り発車のような感じで…」狙われた浦和GK西川周作、痛恨のパスミス決勝被弾「選手みんなに謝った」
試合後、悔しそうな表情を浮かべるGK西川周作
[9.20 J1第30節 浦和 0-1 鹿島 埼玉]
明らかにバックパスを狙われていた。浦和レッズは前半14分、DFマリウス・ホイブラーテンが後ろを振り向きながらパスを送ると、FW鈴木優磨のプレッシャーを受けたGK西川周作が左足キックをミス。DFダニーロ・ボザへのパスが短くなって鈴木に奪われ、先制ゴールを与えた。結果としてこれが決勝点となり、浦和は今季最多53301人の大観衆が集まったホームゲームを落とした。
試合後、西川は「あの場面は間違いなく自分のミスだと思う。チームに迷惑をかけた」と反省の弁。「本当にみんながいい働きをして、後ろから見ていても本当にいい戦いをしてくれた。こういう試合を落としたこと、失点に直結するようなパスミスをしてしまったこと、そしてミスをした後に自分がどうアプローチすれば良かったか、もう少し解決策があったんじゃないかといま考えている」と悔しそうに振り返った。 過去7試合連続で引き分けが続いていた名門対決。優勝争いに生き残るためには勝利が必要な状況で、サポーターからの大きな期待も感じていただけに不甲斐なさは一際大きかった。失点直後、自身の頭を叩くような仕草も見せていた西川は「この鹿島戦という意味、僕たちも一番上を狙う上で落としては行けない試合という覚悟があった。ああいう失点をして、チームに迷惑をかけたことを自分自身が整理しないといけない」と厳しい口調で話した。浦和は今月上旬のルヴァン杯準々決勝・川崎F戦でも、西川を起点としたビルドアップのミスから失点を重ねており、またしても課題が露呈した形。マチェイ・スコルジャ監督はこの日、試合後会見で「正直に言えば受け入れ難い。タイトルを目指したいならこのような負け方をしてはいけない。ミスを犯したら教訓を得ないといけないが、それが本日の試合ではできていなかった」と語気を強めた。
立て続けに露呈した弱点は当然、対戦相手にもスカウティングされており、ボールを奪った鈴木によると「ミーティングから行けば何かしら起こる、何回か回されるかもしれないけど粘り強く行けば何か起きるという話をしていた」という。実際、鈴木はホイブラーテンが振り向いた時点で西川へのプレッシングを始めており、明確に狙いを定めていた。一方、浦和側は中盤の選手がホイブラーテンからのパスコースを作らず、バックパスを指示する選手も見られるなど、読まれやすい状況が作られていたのも事実だった。 西川はこうした相手の対策について「見切り発車のような感じでディフェンスが後ろを向いた瞬間に僕のところに走っている。ディフェンスはそこの選手は見えていないというところで、ギリギリのバックパスが来たりとか、そういったところは狙われていると感じている」と認識している。その上で「監督もゾーン1ではリスクを負うなということは常に言っているので、シンプルにやりながらつなげたらつなぐということで共通理解を持っていて、普段はできている部分も多いし、できなかったところは反省してやっていきたい」と現状を見つめた。 西川は取材対応の場で「選手みんなに謝った。この最高の雰囲気の中でみんなの頑張りを90分間通して後ろから見ていてもすごく感じたし、みんなの頑張りに応えられなかったことを自分としてもがっかりしている」と悲痛な心境も明かした。チームメートからは「これを引き分けにできない自分たちが……ということも言ってくれた」というが、39歳のベテランは「ゴールキーパーとしてチームを助ける思いが強い。今日はしっかり反省しないといけない」と奮起を誓った。 (取材・文 竹内達也)●2025シーズンJリーグ特集▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中