【人類史上最大の火球「ツングースカ大爆発」】1908年にシベリアで起きた謎の空中爆発(スペースチャンネル)

スペースチャンネル宇宙系YouTuber
ツングースカ大爆発 出典:Leonid Kulik

8月19日、九州から四国にかけての広い範囲で「火球」が目撃されたことで話題になりました。実は同様の事例として、1908年にはロシア・シベリアの奥地で正体不明の大爆発が発生しています。その規模は推定3~50メガトン。広島型原爆の数千倍に匹敵するエネルギーで、2,000平方キロメートル以上の森の木々をなぎ倒し、夜空を数日間も不思議に輝かせました。いまだに人類史上最大の隕石衝突(ただし空中爆発)として語り継がれている「ツングースカ大爆発」についてご紹介します。

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森をなぎ倒した「蝶の翼」模様

ツングースカ大爆発のイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)

当時の住民の証言によれば、午前7時過ぎ、太陽のように眩しい青白い光が空を横切り、やがて空が裂けるような閃光と「火の柱」が立ち上がりました。その直後、雷鳴のような轟音と爆風が襲い、数百キロ離れた建物の窓ガラスを割ったといいます。衝撃波はユーラシア各地の地震計に記録され、空気の振動は地球の反対側・ワシントンD.C.でも観測されました。

現地調査で明らかになったのは、約2,150平方キロメートルに及ぶ倒木地帯。中心部では木々が立ったまま枝だけ焼かれ、外側は放射状に倒れており、その姿は「巨大な蝶の翼」のようだったと記録されています。この爆風で推定8,000万本以上の樹木が被害を受けたとされます。

原因は隕石? 彗星? それとも…

飛行機とツングースカ大爆発の隕石(右下)とのサイズ比較 出典:cmglee, Wagner51, domdomegg

現在の有力説は「直径50~80メートルほどの小惑星が高速で突入し、上空5~10kmで空中爆発した」というものです。もし地上に落ちていたら、大都市を一瞬で消し去る規模の破壊が起きていたと考えられます。一方で、「彗星の破片だった」「地球大気をかすめて宇宙に戻った鉄の小惑星だった」などの仮説も存在。さらに「天然ガス爆発説」や「湖の形成を伴った隕石衝突説」まで、多くの議論が100年以上続いています。

爆発後、ヨーロッパやアジアの夜空は数日間も異様に明るくなり、真夜中に新聞を読めるほどだったと報告されています。これは上空に舞い上がった氷や塵が太陽光を散乱させたためとみられ、のちにスペースシャトルでも似た現象が再現されました。

次に起きるのはいつ?

2013年チェリャビンスク州の隕石落下 出典:Uragan. TT

天文学者によると、ツングースカ級(数メガトン規模)の隕石空中爆発は、およそ数百年から千年に一度の頻度で発生するといいます。実際、2013年のロシア・チェリャビンスク隕石(約50万トンの爆発エネルギー)は、多くの建物被害と1,000人以上の負傷者を出しました。もしツングースカ級の隕石が現代の大都市上空で爆発すれば、壊滅的な被害は避けられません。ツングースカ大爆発は「地球は常に宇宙からの脅威にさらされている」ことを思い出させてくれます。現在、NASAやESA(欧州宇宙機関)、そしてJAXAでも「地球防衛計画」として小惑星監視や迎撃技術の開発を進めています。

117年前のシベリアでの惨事は、現代社会にとってもなお重大な警告なのです。果たして私達が生きている間に巨大な隕石衝突は発生するのでしょうか。ぜひ皆さんからのコメントお待ちしています。

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