ついに羽田線へお目見え!ルフトハンザ、初飛来機で新客室仕様「アレグリス」デビュー
ルフトハンザドイツ航空は2025年10月27日、羽田〜ミュンヘン線に新仕様の客室「Allegris (アレグリス)」機の投入を開始しました。初便になったのは冬ダイヤ初日の26日ミュンヘン発羽田行き(LH714便)、27日の羽田発ミュンヘン行き(LH715便)で、アジア地域では上海(浦東)路線に次ぐ投入です。31機を保有するエアバスA350-900型機のうち、A350で初めてファーストクラスを設置する「アレグリス」仕様は現在のところ全10機で、今後はこれまでとは違うレジナンバーの機体が羽田へやってくることになります。初便には、今年7月に運航を開始した新造機「機体記号:D-AIVE (愛称:Darmstadt)」が投入されました。
日本出発の初便となったLH715便では、羽田空港第3ターミナル105番搭乗口にて記念品を配布するなど、初便就航を祝うイベントを開催。その後、東京都港区芝公園の“ザ・プリンス パークタワー東京”へ会場を移し、メディア向けの就航記念記者会見を行いました。
ドイツから来日した、ルフトハンザ グループ・チーフカスタマーオフィサー(CCO)のハイコ・ライツ氏は、「ルフトハンザ グループ99年の歴史上、これほどまでにプレミアム製品へ投資したことはない。乗客1人1人の要望を重視し、アレグリスこそが卓越した顧客体験を実現する鍵である」とアピール。「日本に就航してから64年の歴史の中でも大きな一歩である」としました。また、実際に自身が「アレグリス」が利用した感想として、「高級車では当たり前になっているシートコンディショニング機能が導入されており、今回の日本へのフライトの機内では、クーリング(冷却)機能が快適でとてもよかった」と話しました。アジア地域で、羽田路線が上海(浦東)路線に次ぐ投入順位だったことについては、「日本は重要なマーケット。ファーストクラスの需要や、機材の効率運用など総合的に決定された」としました。
2024年5月1日のミュンヘン/トロント線でデビュー以降、現在は10機のA350-900と、2機のボーイング787-9型機が「アレグリス」仕様になっており、今後は羽田〜フランクフルト線に投入されているボーイング747-8型機を改修して導入することも予定されています。
■ A350-900の新客室仕様「アレグリス」の概要
羽田〜ミュンヘン線に投入される「アレグリス」仕様のA350-900は、ファーストクラス4席・ビジネスクラス38席・プレミアムエコノミークラス24席・エコノミークラス201席、計267席の4クラスで構成。A350ではこれまで設定のなかったファーストクラスを新たに設置しています。4クラス全てで新しい座席を設計したほか、ビジネスクラスやエコノミークラスではさらに各クラス内で細分化された座席タイプを用意しているのが特徴です。
・ファーストクラス
中央2席、窓側1席ずつの計4席を設置したファーストクラスは、完全個室で2つの座席がダブルベットになる「スイートプラス」と、窓側席の「スイート」の2種を用意。ほぼ天井までの高い仕切り壁と施錠可能なドアを設置し、高いプライバシーを確保しています。天然木を使用したウッドパネルなど、随所で高級感を演出。同クラスとビジネスクラスでは、シートヒーター(加熱)・クーリング(冷却)機能を有しており、着席時には常に最適な温度を保持することができます。座席の製造は、アメリカのコリンズ・エアロスペース社が担当しました。
・ビジネスクラス
38席を配したビジネスクラスは、全席が通路にアクセス可能な5種類のシートタイプを用意。「スイート」は中央の2席並びのシートで、ドアで仕切られた個室感覚の空間になっています。「プライバシーシート」は窓側のソロシートで、通路からの距離を置いたプライバシー性の高い空間を演出。「エクストラロングベッド」は、ベッド長が2.2メートルと背の高い乗客でもゆったりとリラックスできるシートになっています。中央ソロシートの「エクストラスペースシート」は、広いスペースと収納が特徴的でこちらも高いプライバシー性を確保。主に通路側に設置されている「クラシックシート」も高い収納能力を有しています。近年、こうした同一クラス内で差別化を図る戦略が活発化しており、同社でもこうした“選択”のレパートリーを取り揃えています。座席の製造は、アメリカのコリンズ・エアロスペース社、フランスのステリア・エアロスペース社、イギリスのトンプソン・エアロ・シーティング社の3社が担当しています。
・プレミアムエコノミークラス
2-3-2配列で24席を配したプレミアムエコノミークラスは、シェルタイプで前席のリクライニングが気にならない構造なうえ、各席ヘッドレスト部分に目隠しパネルを設置しているため、プライバシーも確保されています。また折りたたみの大きなテーブルや、アームレストにもカクテルテーブルを設置するなど、ビジネスクラスに近い座席仕様を実現。座席の製造は、日系航空会社やルフトハンザ グループの同クラス座席なども手がける、ドイツのジム・エアクラフト・シーティング社が担当しています。
・エコノミークラス
3-3-3配列で201席を配したエコノミークラスでは、クラシックシート、エクストラレッグルームシート、レッグルームシート、プリファードシート、フリーネイバーシートの5タイプを用意。前方3列は足元が通常より7.5センチ以上広いエクストラレッグルームシートとしているほか、隣席を空席とするフリーネイバーシートなど多数のオプションを取り揃えています。座席はエコノミークラス座席で多くのシェアを有する、ドイツのレカロ社が製造を担当しています。