メタがAIスマートグラス発表、「オークリー」と提携-399ドルから

メタ・プラットフォームズは、予想外のヒットとなったスマートグラスで高価格帯市場に進出する。「オークリー」ブランドのアスリート向け新モデルを発表。動画撮影機能も強化された。

  メタは20日、オークリーの「HSTN」のデザインをベースにした新モデルを発表。ディスプレー非搭載のスマートグラスにおいてレイバン以外のブランドとの初の事業展開となる。オリジナルモデルと同様、オークリー版も電話の発着信、音楽再生、写真・動画撮影が可能。また周囲の環境について質問に答えるメタのAI(人工知能)機能を搭載している。

  新モデルの価格は399ドル(約5万8000円)からで、金色のアクセントが施された限定版は499ドル。バッテリーの持続時間は従来の約2倍となり、3Kの解像度での動画撮影や防水性能も備える。

オークリーのHSTNをベースにしたメタのスマートグラス

  メタのウェアラブル担当バイスプレジデント、アレックス・ヒメル氏はインタビューで、「レイバンのグラスを着用してジェットコースターに乗ったり、サイクリングをしたり、水辺で過ごしたりするなど、パフォーマンス用途での利用が増えていることから、われわれはそこに注力している」と説明した。

  2つ目のグラスブランドにたどり着くまでの道のりは簡単なものではなかった。最初のスマートグラス「レイバン・ストーリーズ」は2021年に発売されたが、結果はうまくいかなかった。だが23年に登場した後継モデルは大ヒットとなり、メタにとってAI分野での競争における有力なハードウエアが生まれるきっかけとなった。

  「信じられない反響だった。人気の高さにはわれわれも少し驚かされた」とヒメル氏。レイバンのモデルは、「最後のディスプレー非搭載グラスになる予定だった。2回挑戦してうまくいかなければ、AR(拡張現実)に全力を注ぐつもりだった」と述べた。

  しかし事情に詳しい複数の関係者によれば、今回のオークリーモデル以外にも、メタはディスプレー非搭載のグラスに関して複数年の工程表を持っており、年内にオークリーの「スフィエラ」のデザインをベースにした次のモデルを計画している。このモデルはサイクリスト向けで、中央にカメラを搭載する仕様になる見込みだ。一方、20日に発表されたモデルは、レイバンモデルと同様、フレームの上部隅にカメラが配置されている。

オークリーのHSTNをベースにしたメタのスマートグラス

  ディスプレー非搭載のスマートグラスは、メタのAIハードウエア戦略全体の一部に過ぎない。ブルームバーグ・ニュースは先に、メタが年内に通知の表示やカメラのビューファインダーが使えるディスプレー搭載型の上位モデルを投入する計画だと報じている。さらに27年に、デジタルアプリと現実世界を融合させる真のARグラスを発売することを目指している。

  メタのフォームファクター(外形設計)は注目を集めており、他の一部テクノロジー企業も競合製品の開発に乗り出している。ブルームバーグの先の報道によれば、アップルは26年末に初のスマートグラスを発売する計画だ。このスマートグラスはメタの製品と同様の機能を持ちつつ、アップルのエコシステムとより高度に連携する設計となる見込み。アマゾン・ドット・コムもスマートグラスを販売しているが、現行モデルにはカメラ機能が搭載されていない。

原題:Meta Launches $399 Oakley AI Glasses With 3K Video Recording(抜粋)

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