ハマス軍事指導者、アメリカのガザ和平計画に同意しない意向 仲介役に示唆か

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画像説明, トランプ米大統領がガザ和平計画を提案した後も、イスラエルはガザ市への攻撃を続けている。画像はイスラエルの攻撃を受けたヌセイラト難民キャンプから上がる黒煙を見つめるパレスチナ人(1日)

ラシュディ・アブアルーフ・ガザ特派員(イスタンブール)

パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスの軍事部門の指導者が、複数の仲介者に対し、アメリカが提案したガザ停戦を含む新たな和平計画に同意するつもりはないと示唆したとみられることが、BBCの取材でわかった。

ガザにいるハマス軍事部門の指導者イズ・アルディン・アルハダッド氏はこの計画について、ハマスがそれを受け入れるかどうかにかかわらず、ハマスを排除するために作られたものだと考えており、戦闘を継続する意志を固めているとみられる。

一方で、カタールにいるハマス政治部門の一部指導者は、条件を調整したうえで和平計画を受け入れる姿勢を示しているとされる。ただ、ガザの外にいるハマス関係者らには、イスラエル人の人質を管理する権限がないため、その影響力は限定的だ。

ガザ地区では今も、48人の人質がハマスに拘束されており、うち20人が生存しているとみられている。

アメリカの提案は、停戦開始から72時間以内に人質全員をイスラエルに引き渡すことを求めている。ハマスが唯一の交渉材料を失うことになるため、この条件がハマスにとって、アメリカ案に応じるうえでの障壁になっているとみられる。

和平計画には、アメリカとアラブ諸国が「一時的な国際安定化部隊」をガザに派遣することが含まれている。ハマスの一部指導者は、新たなかたちの占領だとして、これにも反対している。

さらに、トランプ政権が公開した、イスラエル軍のガザからの段階的撤退を示す地図には、ガザ南部のエジプトとの境界沿いとイスラエルとの境界沿いに「安全保障緩衝地帯」と称するエリアの設置計画が盛り込まれている。

その管理方法は不明だが、イスラエルが関与するのであれば、新たな争点となる可能性が高い。

加えて、29日に和平計画に合意した後も、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はその内容のいくつかに異議を唱えているように見える。

ネタニヤフ氏はソーシャルメディアに投稿された動画の中で、イスラエル軍はガザの一部地域に駐留し続けることができると主張し、イスラエルはパレスチナ国家に「武力で抵抗する」と述べている。

これは、「テロ再発の脅威がなくなり、ガザが十分に安全になるまでは維持される、安全保障区域以外からは」イスラエル軍が完全撤退するとする、アメリカが提示した枠組みに反している。

アメリカの提案では、計画完了後に「パレスチナ人の自己決定と国家としての地位のための信頼できる道筋」が開かれるだろうともされている。

ハマスはこれまで、主権を持つパレスチナ国家が樹立されるまでは武装解除しないと表明している。

ハマスは2023年10月7日にイスラエルを攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質として拘束した。これを受けたイスラエルの攻撃により、ガザではこれまでに少なくとも6万6225人が殺害されていると、ハマス運営のガザ保健省は発表している。

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