学歴詐称問題の伊東市にクレーム電話をかける心理
市長(写真)が東洋大学卒業と学歴を詐称していたので揺れている伊東市ですが、ニセの卒業証書等の疑惑が出てきて連日ワイドショーを賑わせています。その影響で、伊東市の市役所には電話が殺到し職員が苦情対応に追われているそうです。
人間を襲った野生の熊の駆除をした北海道の福島町でも同様の問題が起こっています。
街の役場に、なぜ熊を駆除するのかといった問い合わせやクレームが町外から入っていると言います。
どちらも電話対応にあたる職員のストレスや時間的なロスは甚大で行政の迅速なサービスを遅らせコストの増大を招きます。
部外者が電話をして職員に文句を言ったところで何かが変わるわけでもありませんし、そもそも電話をする人とは全く無関係の出来事です。
なぜ住んでいるわけでもない場所で起こっている自分に直接関係のない出来事に関して、わざわざ電話をしてまで文句を言わないと気が済まないのでしょうか?
やることがなくて暇というのをもちろんあるのでしょう。それだけではなく普段抱えている不満を正論を吐くことによって発散させようとしているのでは無いかと思います。
「学歴詐称をした市長はけしからん」「人を襲ったとはいえ熊を殺すのはかわいそう」といった意見は否定できない正論です。
伊東市や福島町のような自治体に電話をかけて対応してくれる職員は、そんな正論を言ってもその意見を否定することもありませんし、辛抱強く対応をしてくれます。自分の発言に対して、否定することもなく、無視することもなく長時間対応してくれる人がいる。日常生活ではこのような丁寧な対応を受ける事はほとんどないのかもしれません。
普段話を聞いてくれる人がいない人にとっては、この状態は快感なのかもしれません。
しかし、対応する側の行政の職員は生産性の低い仕事に長時間対応しなければなりません。
最近は、カスタマーハラスメントという概念が広がり、行政サービスに関しても過剰で無理な対応には毅然とした対応を行う動きも出ています。
以前、熊問題で同様のクレームに悩まされた秋田県知事が苦情の電話について「すぐ切ります。ガチャン」と発言しました。それは出来ないとしても伊東市や福島町は電話によるクレーム対応をネットからのメールによる対応に切り替えて、行政の効率を引き上げた方が良いのではないでしょうか?
行政の窓口が自治体とは関係の無い人たちの日ごろのストレス発散のために使われるのは何かが間違っていると思います。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年7月日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。