KDDIが定時株主総会を開催、株主から「料金値下げ」「ネットワーク対策」の声(ケータイ Watch)
KDDIは18日、第41期定時株主総会を開催した。松田浩路社長らが、同社の現況を説明。株主らからの質問に答えた。会場からは携帯電話料金プランの値下げの可能性や過去の障害を踏まえたネットワークの対策などについての質問が上がった。 【画像】松田浩路社長 ■ 携帯料金は値下げしないのか? 物価高騰などの影響で、値下げ一辺倒だった携帯電話の料金プランにも値上げのトレンドが見えてきている。しかし、来場した株主のひとりは「窓口サポートが有料化した。料金プランは値下げしないのか?」とユーザーにかかるコスト面について質問。 KDDI取締役執行役員専務の竹澤浩氏は「昨今、電気代やパートナーの労務費が高騰しており『通信を安定的に提供する』ためのコストが膨らんでいる。引き続き、投資をしていくために未来への投資・ユーザーへの還元の循環をどう回していくかを考えた。先日、新しい価値を提供するとともに、サービスおよび一部料金プランを改定したが今後、ユーザーにサービスを届けるために必要な改定だった」と説明した。 松田社長は続けて「(英Opensignalの)『つながる体感世界NO.1』も過去の投資の結果が現れている。しっかりと投資して価値を作り、適切な対価につなげる。有料サポートとなった窓口でも、今まで以上にサポートすることで好循環を回していきたい」と話した。 KDDIは5月7日、新たな料金プランを発表。既存プラン含めて一部で値上げしており、松田社長は「通信の高度化やAI、エネルギー分野などの新技術に投資し、好循環を実現していく」と説明していた。 ■ 通信障害への対策問う声 2022年の大規模な通信障害を踏まえて、ネットワークの安定性についての対策を問う声もあった。障害発生当時は、第26回参議院選挙の期間だったことから、電話での選挙活動に影響したことを受けた質問。 KDDI執行役員専務の吉村和幸氏は「当時の障害に対する対策はすべて完了した。前回、参院選時に作業を実施したことは管理に問題があった。これを受けて社内規定を変更し、選挙などの重要な期間中、公示から原則としてすべての作業を中止する。どうしても必要な作業については、それを確認したうえで実施する」と説明した。 ■ 基地局への投資の考え さらに今後のAIの普及を見込み、今後の設備投資についての考えを問われた吉村氏は「当社はこれまで5Gの基地局投資を業界最多の局数で行い、ほぼ一段落した。今後はAIなどの基盤を中心とした次世代の投資に割り当てる」と説明。 一方でユーザートラフィックは年間約2割のペースで伸びているとも説明し、ネットワークの容量を確保するため、基地局投資は継続して進めていくとも話した。特に4G時代の基地局は設置から年数が経過しているため、計画的に更新していく予定という。「Massive MIMO」などの技術を取り入れるほか、5G JAPANを通じたインフラシェアリングもあわせてコストをおさえながら、安定性を確保しサービスを提供するとした。 松田社長は「通信基盤の強化はいかに効率よくトラフィックを収容できるか。無線通信では基地局の高度化、光通信では光ファイバー内の速度・容量を上げる研究を進めており、今後も継続する。そのうえで(AIなど)上位レイヤーの領域に(投資を)シフトしていく」と話した。
ケータイ Watch,北川 研斗