米景気後退は年内に、関税の影響を市場は過小評価-MLIV調査

4月28-30日にかけて実施された最新のブルームバーグ「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」調査では、248人の回答者の82%が、トランプ米大統領の関税がもたらす中国からの輸入減少による影響を市場はやや、または著しく過小評価していると回答した。

  また、関税によって今年中に米国が景気後退に陥るだろうと予想する声が86%を占めた。

  トランプ氏が4月上旬に対中関税を145%に引き上げたことを受けて、中国発の貨物は急減した。

  ただ、中国から米西海岸への輸送には約30日かかるため、関税導入前に出港した貨物が米国にはまだ届き続けている。

  米企業は正式発表のはるかに前から関税を覚悟しており、2025年1-3月(第1四半期)には米国で輸入が急増し、国内総生産(GDP)は減少した。

  ハーバー・キャピタル・アドバイザーズのポートフォリオマネジャー、ジェーク・シュアマイヤー氏は「GDPは一時的な需要の前倒しを反映しているに過ぎないが、更新頻度の高い港湾貨物データは、関税による今後の需要崩壊のリスクを示唆している」と解説。

  「実質的に米中貿易が禁輸に近い状態になっているとすれば、これは当然とも言える」と述べた。

関税の影響、5月後半に表面化か

  エコノミストは、貿易赤字の急拡大が次の四半期には反転するだろうと予測しているが、同時に関税による供給ショックのリスクに警鐘を鳴らしている。

  大幅な貨物減少の影響が米国民に見え始めるのはいつかという質問に対し、回答者の49%が「5月後半」と回答、約3分の1は「6月以降」と予想した。

  たとえ貿易戦争の緊張が和らいだとしても、その影響はすでに波及している。ロサンゼルス港港湾局長のジーン・セロカ氏によると、既に貨物の流れが鈍化している。

  調査回答者の3分の2以上が、中国からの供給ショックによる影響が最も大きいのは小売りセクターと答えた。テクノロジーを挙げたのは12%に過ぎなかった。

  サプライショックが深刻化し米資産が大きく売られた場合、最も可能性の高い政策対応は何かとの問いには、関税の大幅な軽減だと3分の2近くが回答した。

  トランプ氏は4月2日に世界的な高関税パッケージを発表した1週間後にその一部を一時停止しており、同氏が引き下がることへの期待もある。

  ただ、ABNアムロのエコノミストは「最近の関税停止は世界経済に対するテールリスクの一部を緩和したものの、依然として非常に大規模な関税パッケージが維持され、リスクが残っている」と指摘。

  「通商政策をめぐる異常な不確実性自体が、既に経済成長に害を与えている」と分析した。

原題:Vanishing Chinese Goods Will Hit Unprepared Markets: MLIV Pulse(抜粋)

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