これがSDV量産への第一歩 トヨタの新車載OS「Arene(アリーン)」の正体
先日発表されたトヨタの新型「RAV4」。現行5代目までのモデルを眺めていると、なんとも懐かしいものがこみ上げてくる。初代は1994年にリリース。前年放送のドラマ『あすなろ白書』でブレイクを果たした木村拓哉を起用したCMが話題となり、自動車に興味関心がない層にまでRAV4の名は響き渡った。 【写真】新型RAV4をもっと詳しく見る(68枚) その後はモデルチェンジを重ね、2019年発売の5代目からハイブリッド車が加わった。そして今回の6代目モデルはハイブリッド車とプラグインハイブリッド車のみで、ガソリンエンジン車の設定はない。しかも、「SDV(Software Defined Vehicle)の量産の第一歩」という位置づけだ。「プリウス」もSDVもなかった30年前に、いまのRAV4を誰が想像できただろう。 トヨタのSDV量産化のカギを握る、ウーブン・バイ・トヨタ(WbyT)が中心になって開発を進めてきた車載OSが「Arene(アリーン)」だ。以前から2025年の実用化を目指すとしてきたが、新型RAV4は年度内の発売予定なので、宣言どおりのデビューとなりそうだ。 OSとはさまざまなシステムやアプリケーションなどを統合管理するソフトウエアのこと。スマートフォンでいえば「iOS」や「Android」のことで、多数のシステムを円滑に効率よく稼働させるうえで重要な役割を果たす。ただ、自動車に搭載されるシステムやECUは膨大で、メカニカルな機構とも連動するため、スマホほど簡単にはいかない。テスラもソフトウエアをアップデートするOver The Air(OTA)などを実現しているが、彼らが理想とするSDVには遠く及ばないのが実情だ。 今回の新型RAV4でアリーンが果たす役割は大きく2つ。 1つはエンターテインメント分野。新型RAV4で初搭載となる新世代マルチメディアは、ホーム画面をカスタマイズ可能とし、それぞれに適した設定にすることで操作性の向上を図る。また、音声認識の応答速度や理解精度が向上し、対話がスムーズになるという。 もう1つは運転支援領域で、「Toyota Safety Sense(TSS)」の機能向上に貢献している。走行中のドライバーの異常時対応はよりスムーズに改善され、また、ペダルの踏み間違い等による急加速の抑制機能が新たに加わった。