「もう終わり!!」と怒るのは全くの逆効果…"YouTube漬け3歳児"がすんなりスマホを返す「切り替えのひと言」(プレジデントオンライン)
YouTubeにハマる子供は多く、親の悩みも尽きない。見るのをやめさせるにはどうすればいいのか。お茶の水女子大学特任教授の宮里暁美さんは「もはやYouTubeに触れないで子育てすることは難しい。だが、熱中している子に、頭ごなしに“やめなさい”と言うのは逆効果だ。スムーズにやめてもらうためには、言い方や接し方にコツがある」という。自身も3歳の息子を育てる、ノンフィクションライターの山川徹さんが聞いた――。 【画像をみる】Eテレおなじみの宮里暁美先生に聞いた ■3歳の息子が“YouTube漬け”になっている 3歳児Kの朝には、ルーティンがある。 午前7時半、寝室に起こしに行くとモゾモゾと目を覚ます。父親である私を認めると、起床後の第一声を上げる。「ママがいい!」と父を拒絶する。あるいは「ママ! ママ!」と泣き叫ぶ。やがて仕事の準備をしていた母に抱っこされ、リビングへ。牛乳を飲んだあとの言葉も決まっている。 「デンシャ!」 そう。Kは、YouTubeを「デンシャ」と呼ぶ。彼にはじめてYouTubeを見せたのは、生後1年頃だったろうか。まさかこんなにYouTubeにハマるとは思ってもいなかった。 新幹線や電車、救急車やパトカーなどの働くクルマが大好きなKは、とにかく乗り物の動画を見たがった。いつしか、我が家では、YouTubeは「デンシャ」と呼ばれるようになっていた。 朝は「デンシャ」を見ながら、朝食を食べ、着替えをする。その後、保育園に登園し、17時頃に帰宅すると夕食までが「デンシャ」の時間。ときには夕食後も「デンシャ」。日によるだろうが、平均したら1日2時間くらいみているのではないか。いや、もっと長時間かも知れない。仮に3時間弱だとしても、3歳児の1日のうち、8分の1がYouTubeでは、あまりに長すぎる。 かといってYouTube禁止は、非現実的だ。とくに欠かせないのが、妻が出勤した日の夕方である。Kが動画を見ている隙に、妻が帰宅するまでの間に、私が1人で夕食や入浴の準備をするからだ。共働きの家庭にとって、YouTubeは、育児に欠かせないツールだ。 ■「見せない」のは非現実的、かつてのテレビと一緒 しかし、だ。オープンキッチンで野菜を切りながら、古いパソコンの前に座って画面を凝視している息子の背中を見ると、ふと不安になる。これでいいのか、と。保育園や幼稚園の行き帰りなのだろう。ベビーカーに乗りながら、スマホを熱心に見つめる子どもを目にする機会も少なくない。大丈夫なのか。他人事ながら心配になってしまう。 お茶の水女子大学子ども園園長や十文字学園女子大学幼児教育学科教授などを歴任し、現在はお茶の水女子大学特任教授をつとめる宮里暁美先生は、私の問いに対して「これは難しい質問ですね」と切り出した。 「現代において、まったく動画を見せない子育てって、可能なのでしょうか。もちろんYouTubeを絶対に見せない子育てもできますが、必要に応じて活用するくらいの付き合い方だと楽になるかもしれませんね。 だからこそ、子どもが見たらよくない動画が表示できないようなセキュリティは絶対に必須です。子どもが刺激的なものに興味を持つのは自然な成り行きですから。テレビだってそうでしょう。きっと5、60年前にテレビが家庭に入ったときにも、親御さんたちはみんな同じ悩みを抱えていたわけですよね」