中国で人型ロボットが暴走…ロボットの反乱との声も「突如手足を振り回して人間を攻撃」(Pen Online)
話題の映像は、ソーシャルメディアXに投稿され、ネット上で拡散している。ニューヨーク・ポスト紙によれば、事件は中国の非公開の工場で起こった。映像では、最初は工場内の建設用クレーンからぶら下がったロボットを、2人の男性が用心深く見守っていた。彼らは人型ロボットの能力をテストしているようだったという。 男性たちが会話をしていると、突然ロボットが暴れ出し、映画『ロボコップ』のロボットさながらに、手足を振り回し始めた。ロボットは避けようとする男性の1人に向かい、スタンドを引きずりながら前進。コンピュータは床に落ち、テーブルに載っていたものも叩き落された。 映像の最後は、攻撃されていた男性が荒ぶるロボットの脇に寄り、スタンドを元の位置に引きずり戻そうとする場面で終わっている。
科学系サイト、インタレスティング・エンジニアリングによれば、事件を起こしたロボットはUnitree H1汎用人型ロボットという電動の2足歩行ロボットだった。暴走の原因は不明だが、いくつかのメディアが、コーディング・エラーではないかとしている。 中国に拠点を置くハイテク企業は、さまざまなロボットを開発しているが、このタイプのロボットは人間向けに設計された環境にシームレスに統合され、効率的に動作できるものだ。近年工場からコーヒーショップに至るまで、さまざまな人型ロボットが導入されている。事件を起こしたロボットは1体1300万円程度と見られるという。
ネット上で映像を見た人からは、「人工知能とは、整然と成長する災難だ」「ロボットに自我が芽生えた瞬間」など、ディストピア化する世界を不安視するコメントが出ている。 Xには「もう完全にターミネーター」「ターミネーター2025」「サラ・コナーは正しかった」などのコメントが並んでおり、暴走ロボットへの恐怖が、多くの人々に映画『ターミネーター』を思い出させたようだ。 SF作家アイザック・アシモフが考案した「ロボットの三原則」も思い起こす人もいるだろう。「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」とロボットの守るべきルールは、ロボット自体が高度化するなかで、より重要な意味を持つことになる。 中国では、旧正月のイベントでパフォーマンス中のロボットが、安全柵の向こうの観客に突然向かって行き、警備員に制止されるハプニングも起こっている。最近起こった事件は、先進的なロボットの信頼性と安全性に対して、深刻な疑問を提起する機会となるだろう。
文:山川真智子