米が中国向け半導体設計ソフト輸出規制撤回-貿易枠組み合意の実行

Mackenzie Hawkins

更新日時

  • ライセンス申請の要件がもはやなくなったと米から通知-シーメンス
  • 米商務省はエタンの対中輸出についてもライセンスの要件撤回を通知
Photographer: Zed Jameson/Bloomberg

トランプ米政権は中国向け半導体設計ソフトウエアの輸出規制に関し、少なくとも輸出ライセンス要件の一部を撤回した。米中が先に合意した貿易枠組み合意を実行するもので、重要技術の取引を巡る規制を緩和する

  ドイツのシーメンスは発表資料で、中国向け半導体設計ソフトの輸出について、ライセンス申請の要件がもはやなくなったと、米商務省から通知があったと明らかにした。シーメンスは中国の顧客に同社製ソフト・技術に対する全面的なアクセスを再開したとしている。

  米商務省産業安全保障局(BIS)は5月、電子設計自動化(EDA)ソフトを提供する主要企業の少なくとも一部に対し、中国顧客への販売を停止するよう求める書簡を送付していた。EDAソフトの主なメーカーにはシーメンスのほか、ケイデンス・デザイン・システムズやシノプシスなどがある。

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  米国のこうした措置は、中国がレアアース(希土類)の供給を制限したことへの対抗策の一環。両国は先週取りまとめた貿易枠組み合意で、中国が約束通りレアアースの輸出承認を迅速化すれば、米側として中国でのプラスチック製造に使われるエタンのほか、半導体設計ソフト、ジェットエンジン部品などの輸出を認めるとしていた。

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  ケイデンスやシノプシスにも同様の通知があったかコメントを要請したが、これまでのところ返答はない。商務省からも返答は得られていない。

  中国向けEDAソフト販売に対する規制は、米国が長年にわたり講じてきた半導体・人工知能(AI)分野での中国の野心を抑制する取り組みが新たな段階に突入したことを示している。

  ケイデンスやシノプシスのソフトは、エヌビディアやアップルなどの企業向けの最先端プロセッサーのほか、電力制御部品のような単純な部品の設計に至るまで、あらゆる用途に使用されている。

  一方、米商務省はこのほか対中エタン輸出についても、ライセンスの要件撤回を通知した。米主要メーカーのエンタープライズ・プロダクツ・パートナーズとエナジー・トランスファーが米証券取引委員会(SEC)への届け出で明らかにした。この通知に関してはロイター通信が先に報じていた。

原題:US Lifts Chip Design Export Curbs as Part of New China DealUS Lifts Rules for Ethane Exports to China, Producers Say (1)(抜粋)

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