任天堂「スイッチ2」の販売権、取引上の対立でアマゾンが失う-関係者

任天堂は、同社製品を米アマゾン・ドット・コムの米国向け販売サイトから引き上げた。第三者による無断販売に関する両社の対立がきっかけで、アマゾンは史上最大の盛り上がりとなった家庭用ゲーム機「スイッチ2」のデビュー時の販売機会を逃した。

  任天堂が販売を停止したのは、同社の小売価格を下回る額で第三者の販売業者が任天堂製品を売っていることに気付いた後だと、事情に詳しい関係者の1人は明らかにした。抜け目のない業者は、東南アジアで大量に購入し、米国に輸出していたという。関係者は機密情報だとして、匿名を条件に話した。

  昨年、任天堂の商品ページがアマゾンの米国サイトから消え始めたと、ゲーム専門メディアが報じていた。以前は「販売元:アマゾン」とページに記載されており、同社が任天堂から直接仕入れた商品であることを示していた。一部はサイトに残っていたが、アマゾンに出店する外部業者によるものだった。

  任天堂を説得するため、アマゾンは商品が本物であることを保証するラベルをつけることを提案した。同社は通常、商品が偽物でないことを保証し、商品を追跡できるようにする目的で、この手法を用いている。ただその提案は不十分で、最終的に任天堂はアマゾンの米国サイトでの販売を取りやめたと、関係者は説明した。

  そのような事実はなく、小売店などとの交渉や契約の内容について公表はしていないと、任天堂の広報担当者は電子メールで回答し、詳細な説明を控えた。

  アマゾンの広報担当者は当社と任天堂の関係性に関するブルームバーグの主張は不正確だと述べたが、具体的な言及はなかった。また、幅広い品ぞろえで優れた購買体験を提供するという取り組みの一環で、任天堂商品を直接届けられることをうれしく思うと説明した。

  任天堂は6月、スイッチ2を発売。米国内では、米ウォルマートや米ターゲットベストバイゲームストップが取り扱う。アマゾンはカナダ、日本、イギリスを含む海外で販売している。ただ米国の消費者は商品を手に入れられない状況が続いており、中にはアマゾンがいつ在庫を確保するのかと、ソーシャルメディアで声を上げる人もいる。米国はアマゾンの売上高の約3分の2を占める。

  アマゾンマーケットプレイスでの第三者の販売業者の行動を巡っては、他の大手ブランドからもアマゾンが監視を強化し、偽造品が出回るのを防ぐべきだとの声が上がっていた。商品をサイトから撤去した例もある。一方アマゾンは、偽造品業者に対して訴訟を起こすなどして、販売を拒否した企業を引き戻す試みを続けてきた。

  直近数週間で、任天堂は米国でアマゾンとの直接取引を復活させた模様だ。7月に発売するスイッチ2用の新ソフト「ドンキーコング バナンザ」の予約注文が「販売元:アマゾン」としてサイトに掲載されている。ただ28日の時点で、アマゾンのサイトにスイッチ2の販売ページはなく、任天堂のスイッチ2販売店リストに、アマゾンの名前も掲載されていなかった。

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